その昔、赤ん坊の頃に流れ着いた田舎の孤島アルカディアに住むフリードが、村で育てられ成長し生活を送るある日に片羽の少女パニスを助けた時から起こる不可思議な現象と、それにより迫り来る村の危機に立ち向かうファンタジー作品。
主人公であるフリードと、助けた事で彼によく懐くパニスが二人揃って行動するスタイルのRPGで、基本的な村の中での多くのキャラクターとの交流を行いながら、その過程で様々な形でヒロインであるパニスとも交流を深めていくゲームデザインになっている。 一見してパニス主軸のゲームだが、他のヒロインキャラクターの個別エンディングもあるのでギャルゲー的RPGファンにとってのセオリーは押さえられている。
戦闘システムはシャイニングシリーズはティアーズ以来食傷気味であまり数をプレイしていないため久方のプレイになったのだが、システムは完全に跡形もなく一新され、SEGAの「戦場のヴァルキュリア」シリーズに連なるアクティブコマンドバトルになったいたので個人的には新鮮。 しかしシャイニングシリーズとしては新鮮という意味であって、ヴァルキュリアシリーズに比べれば細部の作りこみは甘く平凡な出来と言わざるを得ない。 悪く言えば、ヴァルキュリアと同じエンジンを使いまわしているだけとも言える。
そんな戦闘システムの固定フィールドでモンスターを倒すクエストをこなしながら、素材をあつめキャラクターを強化し、好みのキャラクターとの交流を深めることでストーリーが進行する最近ではよくあるタイプのゲーム。 ゲームとしては小奇麗にまとまっていてつまらなくはないが、全体的に微妙に作りこみが甘く面白みが出てくるわけでもない。 グラフィックが特にちぐはぐで、イラストレーターのTONYの画風をよく引き出しているいいキャラモデル……なのに対して動きがひどくぎこちなかったり、背景マップも中々に美麗……だが移動可能範囲は著しく狭い。 加えてキャラモデルや背景マップの出来が良いのにイベント中は固定カメラにCG立ち絵なイベント会話だったりと、素材の良さに対してヴィジュアル面も一長一短でちぐはぐ。
そんな中で最大の難点はメインヒロインともいえるパニスの存在で、天然ゆるふわで強烈な個性を放つパニスがマップを走り回る度に「パニスだよ☆」「おはよー!」ともうれつなアピールをしてくるこの要素に尽きる。 私は別に問題ないが、この手の天然不思議系キャラはとにかく好みがわかれるので、生理的に苦手な人は四六時中共にしなければならないこのパニスでプレイ続行が不可能になる可能性は大いにありえる。 会話パターンも少なく、特別嫌いでなくても毎日毎日パニスだよと名乗り続ける彼女にストレスを感じるかもしれない。 戦闘中でも自由気ままにAI行動をするパニスを手間のかかる可愛い子と受け入れられるか、めんどくさいうざいキャラと受け取るか。 全てはそこが決め手になっていて、それ以外はとにかく普通に遊べるゲームである。
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