今や世界で活躍する
武豊騎手、そして
フランスを拠点に世界の大レースを勝ち、日本のGIレースも勝っているオリビエ・
ペリエ騎手の2人が同じテーマで語っている言葉をライターである平松さとしがまとめたのが本書。読み始める前はてっきり
武豊と
ペリエの対談だとばかり思っていましたが、対談は後半の数ページのみで、競馬に関する同じテーマでの2人の考えは競馬ファンであれば興味深い内容だとは思いますが、もう少し具体的な内容(同じレースでの駆け引きや騎乗した馬について)が読みたかったようにも思います。
ショルティ指揮、ストレーレル演出、1980年7月14日の
パリ・オペラ座公演のライヴ版。テレビ用の録画なので音はやや厚みに欠けるが、屈指の名盤。ミラノ・ピッコロ座の創設者であり、20世紀を代表する演出家ストレーレルの舞台が素晴らしい。茶色を基調とするどの部屋にも窓から斜めに光線が入り、
フェルメールの絵のような陰影に富む。衣装の色彩がよくマッチして、茶色という色の落ち着いた美しさに驚かされる。この清楚な上品さは、17世紀のヨーロッパのものかもしれない。
今は亡きルチア・ポップのスザンナは、何度見てもその素晴らしさに胸を打たれる。2003年秋スザンナを歌う中嶋彰子は、スザンナは「すべてのソプラノのレパートリーの中で最もテキストの行数が多く、出ずっぱりで」最高に大変な役だと言う。そうだろう。モーツアルトの創ったスザンナは、人間の生命が輝く永遠のアイドルなのだから。この公演では、
アリアや重唱の後の聴衆の拍手と叫び声が異様に長い。拍手が終わるまで次の音楽が辛抱強く待っている。ケルビーノ(=ケルビム=天使?小姓?)、スザンナ、伯爵夫人の
アリアを、皆ここぞとばかり全身全霊を傾けて聴いているのだ。この喜びを共有することもまた、「フィガロ」にふさわしい喜びではなかろうか。
パリ・オペラ座のライヴです。画質はいいとはいえませんが、ベルガンサ、ドミンゴ、ライモンディ、リチャレッリ すばらしいキャストです。ドミンゴ、ライモンディはミラノ・スカラ座、ウィーン国立歌劇場でも、何回も競演しており、フ
ランチェスコ・ロージー監督の映画「カルメン」でもすばらしい歌唱、演技をみせています。ピエロ・ファジョーニの演出は、ドン・ホセの心象風景が挿入され、必ずしもオーソドックスとはいえませんが、奇をてらいすぎていない、基本をおさえたわかりやすい演出になっています。国際的スターで主要登場人物をかため、脇は
フランス出身の舞台経験豊かなヴェテランでかためています。
パリ・オペラ座の
フランスオペラは、一見の価値があります。