ウィーン
チェンバロが奏でるウィーン音楽の粋がこれほど美味とは!!
小生ピアノを弾くのを趣味としていますが、奏者の中野さん、貴重な啓発をありがとう。チェンバロが欲しくなりました。
あまたいるピアニスト各位、鍵盤楽器奏者としての中野氏の音楽の在り方とレベルに、負けずに学びましょう。
祖父たちの零戦
これまで一人の視点から語られることが多かった空戦記であるが,この本は多数の搭乗員の視点,戦後の活動・言動などいろんな角度から,零戦を駆って戦った搭乗員達の実像に迫ろうとしているところが新しい.
すでにこの世に出ている本からの引用は少なく読みごたえがある.坂井三郎氏,角田和夫氏の人柄についても理解が深まった.
同時に,あの戦争は戦後平和に慣れきった今の日本人が簡単に評価したり批判したりすることは到底できないほど,重く凄惨な出来事で,生き残った旧軍人達のこころも深く傷つけていることに思いが至った.
指揮官側の二人を中心に語られていることからか,坂井氏の軍組織批判や,特攻指揮の批判については深く触れられていないが,それが当然だったという当時の状況・事情・雰囲気は伝わってくる.
よい面も悪い面もある人間として我々と変わらない先輩である搭乗員達は,当事者として命をかけて戦うことで立派に責任を果たした.そして今の時代を担う我々に,同じく当事者としてどう生きるべきか問いかけている.
祖父達の零戦・・・この本の狙いは成功しているのではないだろうか.
孫は祖父より1億円損をする 世代会計が示す格差・日本 (朝日新書)
国債を発行さえすれば、国の財源は増える。それを緊急の支出に、あるいは景気浮揚のために、社会資本充実の資金に充てる。償還は60年後。次代がなんとかするだろう。そんなやり方で、未来の国民にツケを回し続けている。多くの人が不安を感じながら、今年も国債が大量に発行されました。本書はこの不安に、世代会計の考え方で、数字的に裏づけをし、破綻のはっきりした形を示し、打開策をも提案しています。
無策ならば、いずれ国はデフォルトに陥ります。国の収入となる税金を上げ、国の支出となる国から国民が受ける受益額を減らすのが、対応の常道です。しかし高齢化と少子化が進み、従来のように現役世代の奮闘を期待し、負担を強いるのはもう限度です。今もある世代間の不公平な負担が、より極端になります。推計によれば、勤労して得る全収入よりも、徴集される税金の方が高いという悲惨な人生から、次代に生まれる人は免れられないようです。その為、早急に年代と相関する支出、年金・医療保険・介護保険・失業保険などの支出額を減らし、現高齢者世代に協力して貰う。また公共事業費も減額。収入は、所得のない退職者でも払う消費税をとくに増税。退職者層には過激なこれらの案には、反対が当然予想されるので、国会議員の選挙制度も世代別群に分けようという案です。
新しい世代会計の考え方の紹介だけでなく、現実の不公平な負担の重さに苛立つ世代からの悲鳴が聞こえます。ですから読者が、○退職者世代、○実質負担が大きいと計算されている40~50代の世代、○それよりもっと若い世代とで、読後感はかなり異なると思います。僕には、国債返還よりも小子化の方がスパンの長い深い問題に見えます。家族とか実子関係とかを正規の基準とせずに育児扶助し、また子の数に応じて育て上げた人の年金額を有利にするなど、柔軟で具体的な案の検討が望まれます。
正しく知る地球温暖化―誤った地球温暖化論に惑わされないために
IPCC(国際気候変動パネル)のリポートには重大な誤りがある。
いま進行している地球温暖化のほとんどは。
「地球の自然変動である」
地球温暖化と言う都合のよいプロパガンダに躍らされてはならない。
(カッコ内レヴュアー補足)
と言うのが、著者、赤祖父俊一氏が本書で言わんとする大意である。
赤祖父俊一氏は、アラスカ大学国際北極圏研究センター所長を努めた、北極圏研究における世界的権威である、
そういえば、「温暖化、温暖化っていうけど。地球は熱くて困った時より寒くて困った時の方が長いんだよ」
と塾の理科の先生が、子供に話していたことお思い出しながら本書を読む。
論旨は明快で分かりやすいが、この論旨が正しいとすると、IPCCは、なぜ誤ったかが問題になる。
無知によるミスは除外すると、残るは「欲と利権」そして「研究者としての功名心」しかない。
「誰かを貶めるため」と言う動機も考えられうるが、それは安っぽいミステリの読み過ぎということだろう。
赤祖父氏は、こう推論する「原子力発電を推進するには、火力発電などの二酸化炭素を出すエネルギーを温暖化の犯人として糾弾する必要があった」
その上で、今の日本の状態を次のように表現する「ノーベル平和賞のアル・ゴアを救世主として温暖化狂想曲で踊っており、報道はその調子を鼓舞して太鼓を叩いている」
凍土の上に建った家が、凍土が溶けたことで傾いでいるが、それは、暖房をしたからで、
氷河の先端が海に崩れ落ちるが、それは氷河は流れる川だから先端が押し出されるのは当たり前で、
シロクマが北極の氷の減少で、アザラシの棲むえさ場が減リ、絶滅の危機に瀕しているという情報は捏造で……
こう言った情報は、赤祖父氏が特に原発反対派ではないだけに信憑性を帯びて伝わってくるのである。
あとは皆さんに読んで判断してもらうしかない。