陽のあたる坂道 [DVD]
裕次郎はもちろん日活映画をあまり観ていないのですが、第一印象として編集方法が悪いと思います。画面の切り替えに違和感がかなりあります。内容は日本版『エデンの東』ですが、倉本たか子(北原三枝)と田代くみ子(芦川いづみ)、田代みどり(轟夕紀子)と高木トミ子(山根寿子)、彼女ら女性を対比しながら物語を進めています。
北原三枝は、その時どきの表情がいいです。ラスト近くから田代信次(石原裕次郎)へ向ける微笑みがなんともいえません。 芦川いづみは、よく見れば美人とは云えないですが、可愛らしい魅力的なキャラクターを演じています。 轟夕紀子と山根寿子はすごくいいです。この作品がきちんと成り立っているのは彼女らの演技力です。 裕次郎の演技も若さに溢れて瑞々しいし、川地民夫の“ジミー小池”として歌うシーンはイカしてます(笑)。
青い山脈 前・後篇 [DVD]
女子高生の主人公を演じる吉永小百合とその恋人の浪人生役の浜田光夫のさわやかなカップル。その仲を取り持つ大学生役の高橋英樹のとぼけた演技も光っています。これと重なるように、女教師役の芦川いずみと校医役の二谷英明も負けず劣らずさわやかでユーモラスなカップルです。こちらの大人のカップルを取り持つ芸者役の南田洋子もうまい。そんな彼らの学校でにせラブレター事件が起こり、話がどんどん大きくなり、町の悪者(=PTA会長)と対決するはめに陥ってしまう。学園青春ものの原点ですね。
陽のあたる坂道 (角川文庫)
青森と言ってもある作家とは
こうも、違うものかと云うほど
前向きな温かい作家ですよね。
明るくすこやかな 人の温かさや優しさ、
誰しも大小あるだろう劣等感への扱い方。
活き活きと描かれたものが少ない現代だからこそ
余計に心地良く感じます。
信次を倉本たか子が愛することも自然で
たか子と信次に語らせていることが
伝えたいことなんだろうなと思います。
こうした学生を描く雰囲気は、
曽野綾子女史の28才から35才当時の
いくつかの小説ともテイストが似ていて
お気に入りです。
青い山脈 [DVD]
シリアスな展開の中にもに明るさのある映画です。主題歌と後半の冒頭の二葉さんの歌が有名ですが、内容は「恋愛」についての封建制打破というようなテーマが中心。
そのドラマの進行過程で「家のため」「国家のため」という言い訳で枠にはめようとする、という戦争の反省も組み込まれていて、「もっと自由人たれ」そしてそれは「甘えちゃいけない、自分の力、価値判断で生きるのだ」という大きな、かつ根源的な主張をも表現するのです。まさに「艱難汝を玉にする」という恋愛ドラマですよ。
そして登場人物の中に流れるヒューマニズム、そのことがラストの海岸の丘の上での2組の愛の「告白」に結実するとき、そのドラマの美しさが輝きます。
追記:竹の子先生にバラを持ってお見舞いに行くときの原節子さんのちょっとはにかんだようなしぐさ、顔のかわいらしさは特記すべきものです。あと音声は古い映画の割にしっかりと録音されております。聞き難い事はございません。映像もきれいです。