中国農民調査
著者夫婦が私財を投げ打って調査執筆した渾身のルポルタージュ。書かれている事柄はまるで小説のようであり、実際にこの世の中で起こっている出来事とは思えない。
この本を読むと、中国の経済発展がいかに「張り子の虎」か、農村部の貧農たちの犠牲のもとで成り立っているか、がよくわかる。日本の左派も、真に人権や平和を希求するなら、共産党政権に擦り寄るのではなく、こうした「虐げられた人々」救済のために立ち上がる、ぐらいの気概を持って欲しいものである。
ちなみに本書は、やはり中国国内で発行されたことからか、「頼みの綱」を共産党政権指導部に託しているが(それでも発禁になったわけだが)、それはどう考えても「叶わぬ望み」であることも申し添えておく。
中国の全省でバカヤローと叫ぶ
3年間中国へ単身赴任した40歳くらいの関西出身の中間管理職の男性が
中国全省制覇を目指す旅行記。
中国のあちらこちらでツッコミまくって、楽しんでいる感じはよかった。
ただ40歳くらいの人が書いて本になって出版された文章として自分には読みづらかった。
なんというか10代か20代の人が書くような、
友達や知り合いに読ませるような感じで。元はそういう目的で書かれた物なのかもしれないけど。
中国農民調査(中国語) (大地文学19)
急成長する都市経済の背後で、貧困と窮之にあえぐ9億の中国農民たち。毛沢東の革命闘争を支え、改革開放政策で豊かになったはずの彼らに、何が起きているのか。ある作家夫婦が、中国屈指の穀倉地帯を3年間取材。そこで明らかになったのは、税金や公金をでっち上げて農民を搾取する「悪代官」のような地方官僚と、圧制に耐えかねて抗議する農民を暴行、殺害するヤクザのような警察と公安の存在だった―。
現代中国の「タブー」に踏み込み、刊行二ヵ月で発禁処分となった全世界注目の書。
権力を笠に村の役人が好き放題に横暴し、農民の財産を吸い上げる様子が書かれている。
握った権力を頼みに、土地を占有し、公共物を私物化し、公金を横領し、凶悪でどんな悪事でも躊躇わず、やりたい放題。
その様子は封建社会の村のボスそのもの。まるで粗野な未開人だ。
税の徴収も気分次第。煮炊きに上げる煙まで環境汚染と難癖をつけ、汚染物質排出費という名目をつけて各世帯から徴収。
農民が文句を言うと、「問題の大きさではない。態度が問題だ」と言い出し「態度費」を徴収しようとする。
それでも言うことを聞かねば、家に上がり込み家具や食器をたたき壊し、家中を徹底的に破壊する。
そして、将来ある農村の若者が、重い負担が耐えられないと県の党委員会に訴えただけで、郷の派出所でリンチされ殺された。
彼は「筋道を通していれば大丈夫」「正しいことはどこでも通用する」と正々堂々と抗議した。
しかし、凶暴で権力がある人には理屈どうりにいくわけがない。
農民=下層界にいる搾取対象といった感じで、権力一つが利益を生み出す手段。
金を奪い、食糧を奪い、最後には命も奪ってしまうのだった。
権力があり、ズル賢くて、強くて、良心のない人間だけが生き残る。