花と流れ星 (幻冬舎文庫)
「真備霊現象探求所」にまつわる第三弾、五編からなる短編集です。
前作「背の眼」、「骸の爪」とは、
直接つながったお話ではありませんが、
やはり人間関係や過去を知っていると、おもしろさが増すと思います。
特に最後の「花と氷」は、そうですね。
根底にある切なさが、なかなか伝わらないので、
一読されてから本作をおすすめします。
「七つの死者の囁き (新潮文庫)」で読んではいたのですが、
冒頭の「流れ星のつくりり方」は、二度目でも良さは変わりませんでした。
短い中にもたくさんの伏線があり、
最後の最後まで驚かされます。
本当に美しくて切ない物語です。
マイナスと言えば「箱の中の隼」でしょうか。
短編では語り尽くせていないように思いました。
丁寧に描けば長編が一作出来そうなお話です。
ある意味、この本の完成度が高いとも言えます。
次作の道尾作品がますます楽しみになりました。
鬼の跫音 (角川文庫)
短編がこれだけ上手な作家さんも珍しいのでは?
6編いずれもとてもよかったです。
ミステリー小説は発生した事件の解決を目的としたストーリーが多いですが、
これはちょっと違った観点。
犯罪者側の視点で書かれたものが多く、犯罪者の焦りや孤独が伝わります。
中でも一番好きなのは、、、表題につながる「冬の鬼」。
しんと冷たい狂気がずしっと心に残ります。
私の中ではこの本は道尾秀介さんの最高傑作です。
龍神の雨 (新潮文庫)
道尾さんの作品は初めて読みましたが、ちょっとした衝撃を受けました。
こんなミステリーを書く作家がまだまだいたんですね。
2組の血の繋がらない家族に視点を変えながら物語が進んでいきますが、
ありがちな展開だなと思っていたら、終盤にまさかの展開が待っていました。
久しぶりに良いミステリーを手にしました。
過去作も物色したいと思います。
向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)
サイコホラー風味だが、その構成は紛れもなく本格ミステリー。ある程度ミステリーを読み込んでいる人ほど、この作品のアンフェアぎりぎりの叙述トリックの使い方と、数々の伏線を交えたミステリーとしてのフェアな構成のバランスに感心するはず。
だが、例の事件がらみの話題性で興味を持っただけと言う人や、普段からこの手のジャンルを読み慣れていない人は残酷描写にしか目が行かなかったり、オチが肩透かしに感じられると思われる。また、人間だからこそ抱える「心の歪み」という現代的なテーマが根底にある作品なので、そこを理解、感情移入できるかどうかも評価の分かれ目。
誰もが感じるであろうキャラ描写に対する「ある違和感」の正体がラストで判明するのだが、この違和感を意図的に残している事が、読者に対する著者の真摯な製作姿勢の表れだろう。そして、その叙述トリックの使用に「心理的な必然性」が与えられているという点が、他の叙述系作品とは一味違うこの作品の最も秀逸な点である。
信じたいものを信じる主観と云う名の迷宮に取り込まれた、切なくも、おぞましい夏の日を…。
カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)
おもしろかったです。
「やられました」
映画化されるということで楽しみです。
この小説を読んで
昔、マイケルダグラス主演の「ゲーム」という映画を観たときの「裏切られた感」を思い出しました。
「ああ〜〜そういうことだったのか..」
「やられた」と
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