グループアイドル進化論 ~「アイドル戦国時代」がやってきた!~ (マイコミ新書)
AKB48がチャートを独占したことが象徴するように、女性アイドルグループが今熱い。しかもそれは、旧来からあるステレオタイプのアイドルヲタ(いわゆる「ヲタきんもー」な人々)の内輪を超え、幅広い層に届いている。本書はそのような群雄割拠する現代のアイドルシーンを解説する新書。
「今の女性アイドルグループ」と「これまでの女性アイドルグループ」を解説してくれる。CD不況が叫ばれる中なぜAKB48が売れるのか。評者のような門外漢にはよくわからないこうした疑問に、AKB結成から順を追って答えてくれる。様々な分野で「ユーザー参加型」が流行りだが、それを約五年も前にアイドルにおいて実践していたこと、秋本康の先見の明があるのだろうか。
本書はまた、AKBへ行きつくまでの日本の女性アイドルの歴史を70年代のキャンディーズから時系列に解説してくれる。個人的には夕焼けにゃんにゃんが終わり女性アイドルグループ冬の時代となる90年代から00年代へかけての状況の変化が興味深かった。90年代は美少女がアイドル以外の分野に転出していった時期だが、それだけにこの時代にアイドルを、ましてや会場まで訪れ応援するファンとはマニアックで、例えばそれは昨年急逝した今 敏が『パーフェクトブルー』の冒頭で描いた、あのような雰囲気なのだ。章の間にはアイドリングを手掛けるフジテレビのプロデューサーや、ももクロを手掛けたプロモーターのインタビューが挿入されている。
評者はアイドル、特に本書が取り上げているような「歌って踊れる美少女アイドル」にとんと疎く(グラドルならば少しは語れる)、本書のように手軽に解説してくれる入門書を待ち焦がれていた。律儀に「はじめに」で注意書きしているとおり、「女性」の「グループアイドル」だけに焦点を当てているため、これだけでアイドル全般を押さえることはできないが、評者のような読者はある程度満足できるだろう。
世界で1番幸せ
制服向上委員会(SKi)の34枚目(!)のアルバムです。
最初の四曲は青春アイドルポップの王道で、キャンディーズに続けて聞いても違和感がないくらい。
続いて、9代目リーダーの小川杏奈さんが可愛い(なかなかバックコーラスも綺麗です)コミックソング「君と救急車」、インターネットのアイドル番組 All Idol Songs Awards (A.I.S.A.) のPRソングで、アイドル自身が「かわいいアイドル最高」と歌うメタな感じの「A.I.S.Aのテーマ」まではなんとか普通のアイドルCDです。
その次が問題の「ダッ!ダッ!脱・原発の歌 」、地デジにからめてテレビを批判する「TVにさようなら」、福島の酪農家の最後の声を元にした「原発さえなければ」と社会的なネタが続き、そうかと思うと次の二曲は普通のアイドルポップに戻ります。最後の「世界で1番幸せ」は両親に離婚しないで、という女の子の声(キレキレの夫婦を演じる台詞劇も!)。
うん、侮れないグループですよ。それと、「原発さえなければ」ってガチなプロテスト・フォークだと今更ながら気づきました。続きは橋本美香さんの「グレイトフル・デッドを聴きながら」で(なんかリンクがうまく張れない)。