西岡恭蔵 BOX
ぞうさん(西岡恭蔵)の2枚のアルバムをカップリングさせたかたちでの、ボックスセットになっています。アルバムはファーストの「ディランにて」と、「街行き村行き」です。ディランセカンドで活躍していたぞうさんの初ソロが「ディランにて」ですがこれはほんとうに良いレコードでした。「プカプカ」はジャズシンガーを歌ったもので、ぞうさんの代名詞的な曲ですね。ディランセカンドのアルバムにも入っていました。個人的には「君の窓から」と「終わりの来る前に」が素晴らしいと思います。詞曲ともにすばらしく、もう文句のつけようがありません。「街行き村行き」のほうも、これまた素晴らしい。「春一番」は、いまも有線放送のフォークチャンネルから流れ出てくる不朽の名曲。ぞうさんのアルバムを1枚も持っていたいかたは、このボックスから購入されるとよいと思います。ぞうさんの御冥福を祈りながら味わって下さい。
ろっかばいまいべいびい
西岡恭蔵の1975年発表のソロ3作目。前作「街行き村行き」でもカントリーなどアメリカの伝統音楽に近づいていましたが、さらにアメリカ南部まで音楽性が深化しています。A面はハックルバックをバックにエレキ中心、B面は細野晴臣とのアコースティック中心という構成になっています。このアルバムを聴くときにやはり目(耳?)を引くのが、A面のハックルバックの演奏でしょう。ファンキーなリズム隊に、クールな佐藤博のキーボード、天才ギター少年鈴木茂のギター。とにかく格好いい!!そこに金子マリの熱いコーラス(”踊り子ルイーズ”ではデュエットも)、”あこがれのニューオリンズ”では薗田憲一とディキシーキングスが参加(高田渡「石」での好演も要チェック)。細野さんの”ろっかばいまいべいびい”、”三時の子守唄”のカバーを収録したB面も落ち着いた雰囲気で良いです。同じ年に発表された細野さんの「トロピカル・ダンディー」とアルバムの構成や空気がよく似ていますね。まぁプロデュースが細野さんなので当たり前かもしれませんが。しかし、ニューオリンズやハワイ、上海などの多国籍(無国籍)音楽から逆輸入的に日本文化を発見するといった、頭のこんがらがってしまいそうな視点からこのような音楽のスタイルに至った細野さんとは違い、西岡恭蔵さんはシンプルにこういう音楽が好きなんだろうなぁと思います。そんな素直で素朴な人柄さえも感じることのできる素敵な名盤です。