天正遣欧使節の音楽/アントネッロ
400年以上前に遡り現代ロマンを展開する壮大な歴史絵巻に圧倒されました。日本人としての西洋音楽受容のルーツをたどり、時として、枠を超えて、ジャズやフラメンコのようにグルーヴする音楽は、何度聞いても楽しく、哀しく、せつない感興を呼び起こされます。クラシックの音楽史部門のなかで販売されるより、もっとポップな分野で販売されれば、さらにブレークするんじゃないでしょうか。個人的には、ここ10年で聞いたあらゆるアルバムのなかでも、最も感動したアルバムでした。濱田さんを初めとしたアントネッロの皆さんの演奏レベルの高さにも、ただ、ただ尊敬の念が絶えません。仕事がらホールの管理をしていますが、是非、アントネッロを中心としたこのアルバムの皆さんを招聘して公演をしたいと夢見る今日この頃です。
コドモのコドモ [DVD]
主人公のお母さん。妊娠経験者であるはずの母が、娘のあの様子を見て変だと思わないところがすごく変。
ファンタジーっぽい作風でも、もちっと現実味があってほしかったです。
あと、主人公と男の子がセックスするくだりは笑えないかも。あれをどう捉えるかは人それぞれで、難しい問題だけれど・・・。
ある意味で話のキーパーソンである先生の心境の変化に共感しづらいのも、うーん・・・。麻生久美子さんも甘利はるなさんも、芝居がうまいだけにもったいないです。
ミュジコフィリア(2) (アクションコミックス)
メロドラマ的なストーリーもありますが、この作品の見所は前衛的な音楽をどう表現するかにあると思います。
なかでも七色の声を持つ少女「凪」の審査会の場面は圧巻。また複数のラジオを使って演奏する「連太郎」が登場して次巻でどういう演奏をみせてくれるかに期待をもたせます。
神童[2枚組スペシャル・エディション] [DVD]
とにかく、主演の二人が上手い。
アイドル的な演技ばかりが目立つ日本映画界で、ここまで魅力的な演技が観られるのは良い。
台詞に表れない細かい心の揺れを、分かり易く、しかもわざとらしくなく自然に伝えている。
この上手い役者を二人揃えたのは大正解だろう。特に成海璃子は、役者として「神童」だと思ってしまうほど。
だが脚本と音楽が駄目すぎる。
まず脚本は、作品として破綻している。伏線が回収できていないばかりでなく、何が起こったかを説明したり、その背景を匂わせたりということすらできていない。原作から数エピソード抜き出しただけのように思える。無用なキャラクターも多い。原作を読んでいないと分からないが、原作を知っている人にはつらいという結果になっている。
音楽は、主人公のテーマソングがイージーリスニングになっている。
音大でうたがピアノを弾いて学生が聞き入るシーンがあるが、こんな曲、誰も立ち止まらないどころか、音大生なら軽蔑するだろう。せっかくなんだから、原作のバルトークなりショパンなりを活かせば良かったのでは。
というわけで、役者の演技を観るだけでも、価値はあると言える。演技だけなら★★★★★だが、作品としては★。中間をとって★★★。
神童 [DVD]
成海璃子も好きだし松山ケンイチも好きだしで大して期待もせず鑑賞。 ビックリするぐらい良かった!どちらかと言うともっとマンガ的な作品を予想してたものだからその余りにも繊細な作品世界に引き込まれ息を詰めて見つめる事2時間、全く飽く事なく楽しめた。 もって生まれた天賦の才を持つ中学生と音楽が好きでピアノを弾く事が好きなどちらかと言うと凡才に近い落ちこぼれの音大生という対照的な二人。 その二人が惹かれ合う。 一方は恋愛感情として。 もう一方はその圧倒的な才能に尊敬の念を抱きながらあたかも妹の様に想っている。 それが天才故の苦悩と心の傷を知る事によって微妙に心境に変化が生じてゆく。 それを主演の成海と松山は信じ難い程の精度と繊細さで演じていく。 この二人の演技力には今更ながら驚かされます。 二人の出会いのシーンからして素晴らしい。 その後の展開も省略が効いていてとてもいい。 成海璃子演じるうたが何故松山ケンイチ演じるワオに恋をするか? 映画を観てればよくわかる。 以前から風貌が良く似ていると密かに思っていた西島秀俊と松山ケンイチの夢の共演。 残念ながら絡みのシーンはなかったけど。 銭ゲバで柄本時生と共演してたのがこの映画ではその父親の柄本明が松ケンの父親役。 ファンとして嬉しい発見。 ピアノの演奏のシーンには吹き替えと分かっていても何度も泣きそうになり音大受験の実技試験の場面では鳥肌が立った。 クライマックスの演奏会では堪らず自然と涙が溢れた。 ただこれ程ピアノ演奏のシーンが完璧なのに声楽科の貫地谷しほりのシーンだけが少し残念。 脚本も演出もともに素晴らしく、笑える場面もイッパイあるし世界に胸を張って紹介出来る数少ない日本映画の一本です! 主演の二人がますます好きになった。