まんがサイエンス 13 (ノーラコミックス)
分かりやすくて面白い、科学の入門書です。98年掲載の作品から、最近創刊された「りすうか」という雑誌に掲載されたものまで、内容も体内から衛星軌道まで、これ一冊読むだけで様々な分野に科学的興味が湧いてきます。
特に「りすうか」に掲載された2作品は、枠下にこれまでやっていなかった、専門用語を多用した解説が付いており、漫画の中で説明された知識+αのより深い専門的な知識も得られます。必要なことはこれまで通り漫画の中で説明しているので、この解説が難しいならば読み飛ばしても問題なく、これまでの内容だけでは少し物足りなかった人には一粒で二度楽しめる、大人から子供まで面白く読める一冊になっていると思います。
アステロイド・マイナーズ 1 (リュウコミックス)
SFのF、すなわちフィクションやファンタジーの部分は非常に小さく
代わりにスペース・サイエンスの情報提供に徹底した内容であり
作者の旧作「まんがサイエンス」を
よりシビアにしたような雰囲気の漫画です。
ストーリーを進めるにあたって説明を多用しているため
その内容を面白く読める人と
既知なのでそれほどでもない、という人では評価が変わると思います。
自分は視覚を用いた漫画表現でないと伝わりにくいことを学べたので★5つです。
ちょっと注意が必要なのが、宇宙での有人活動ということで
若干のグロ要素を含んでいるということ。
ギャグやシナリオ構成の面白さでコーティングしてありますが
作者の漫画を読むのはこれが初めて、というような宇宙ファン方面から来た方は
少し覚悟をしておいた方がいいかもしれません。
(作者の毒味を含んだ作品を幾つも読んでらっしゃる方なら特に心配はいりません。いつものあさりさん漫画です。)
あさりよしとお短篇集 毒入りカプセル篇 (リュウコミックス)
タイトルが「毒入り カプセル篇」なので、毒気たっぷりというより、ほぼ毒気のみで構成されております。
他の短編に「いれられなかったモノ」ばかりを集めて、「毒入りシリーズ」の名で出すぐらいですので当然といえば当然ですが…。
ですので、あさりよしとお氏の「軽妙洒脱な会話の中に適度に含まれるスパイスとしての毒気」程度だろうと思って読むとしんどいです。
ちょっとダークすぎて笑えない部分もあります。私は氏のファンですがそれでも少々きつかったです。
コミックス全体としては☆2つ評価が妥当かとも思いましたが、上記の「プロジェクトT」は山のようにある「D」のパロディのなかでもトップクラスでした。
「来たァ、二台ダンゴでつっ込んでくる!!」とギャラリーが期待感を煽る前振りで始まり、ページをめくると二台の戦車が!
ハチロクならぬ74(ナナヨン)式戦車が、世界最強最新鋭戦車(最近ではゲリラ攻撃で結構ヤラレていますが)メルカバMk3相手に、峠道をデッドヒート。
例によっていちいち解説してくれるギャラリーの冷静なコメントとその眼前で繰り広げられている事象とのギャップが可笑しい。
ラストも氏らしいシュールな終わり方で好感触でした。故に+アルファで☆三つ評価です。