リスボンの涙
ファドというとアマリア・ロドリゲス以来、女性歌手の焦点があたりがちだが、男性歌手のファドもいい。このCDは新聞のレコード評で興味を抱き、ダメもとで買った。ルネッサン期の音楽とファドという不思議な組み合わせだが、予想外にマッチしている。男性歌手はアントニオ・ローシャ。このCDで初めてその存在を知った。同時に、その抑制された哀しみとでもいうのか、柔らかで静かな歌唱にファドのもうひとつの魅力を発見した思いがした。買った当初、毎日のように聴いていた。アントニオ・ローシャはこのアルバムで6曲歌っている。どれも素晴らしいが、とくに最後の「いつでも待ちながら」は絶品。この人の歌唱にはなんともいえない男の色気を感じる。ライナー・ノートに、このアントニオ・ローシャが出演してるバーについての記述があるが、観光客が押し寄せるのを嫌って名を伏せてある。ヒントはジャケットに使われている店内のポルトガル独特のタイルだけ。リスボン万博に行く機会があり、到着した晩、僅かな手がかりをもとにファドで知られる地区をしらみつぶしに探して歩いた。諦めかけた11時過ぎ、偶然のアントニオ・ローシャの顔写真を掲示しているバーの前に出た。言うまでもなく、すぐそのバーに入り、午前3時過ぎまで、アントニオ・ローシャの歌を満喫した。生で聴くとさらに素晴らしい。このCDはそんな思い出もあり、私に取っては宝のような一枚だ。彼のファドは地味だけど、うちに秘めた熱い血のようなものを感じさせる素晴らしいファドだ。騙されたと思って聴いてみてください。
ヤマザキマリのリスボン日記 テルマエは一日にして成らず
ヤマザキマリの漫画を殆ど読んでいる方にのみお勧め。楽屋落ちに近い話ばかりなので、漫画を読んでいない人には毒が強すぎる。意味も良く分からないかもしれない。
テルマエから、北海道ものから、アラブ物、イタリア家族ものまで、彼女の様々な漫画を読んでいる人には、どの漫画がどういう時期にどういう心理状態の時に書かれたのかが、良く分かる仕組みになっていて、興味深い。私は電車内で読んでいて爆笑してしまい、顰蹙でした。
ポルトガルでも不思議な生活ぶりについても、面白い話満載。また、売れない漫画家が、一躍スターになっていく過程がどんなものか、手に取るように良く分かる。
彼女は、日本では成功しにくい、傑出した才能と個性のある方なんだろうと思う。それが、友人に恵まれ、編集者・出版社に恵まれ、時機にも恵まれて、漸く活躍の場を得た、水を得た魚状態なんだろう。我々は、本書を通じて、そうした個性(スター)の誕生を発見するという機会に恵まれたのかもしれない。
彼女の漫画ファンには星5つだけれど、一般の人へどれだけアピールするかは不明なため、敢えて4つにしました。
りすぼん
本っっ当に可愛い!
都会では決して見る事のできない野生のりす。
全部のページにりすの魅力がたっぷりつまってます♪
りすが好き、小動物が好き、可愛いものが好きな人には必ず見てほしいです!
二冊購入して、『一冊プレゼント用にしてください。』
そんなシチュエーションにぴったりな本です☆
特に小さいお子さんがいる家庭に喜ばれるかもですね。
リスボン物語 [DVD]
ヴィム・ヴェンダース監督お得意のロード・ムービー。ただしこれまでの「さすらい」や「パリ、テキサス」と違って旅をする風景はあまり出てこない。それよりリスボンの美しい風景が心に残る。ヴェンダース作品久々登場のリュデュガー・フォグラーを始めとしてヴェンダース復活を印象づけた作品。特筆すべきは作品の中に出演し、演奏もしているマドレデウスの音楽。この映画をみたらマドレデウスの音楽を聞きたくなること間違いなしです。
アインダ~リスボン・ストーリー 映画「リスボン物語」サウンドトラック
ポルトガルと言えばファド、ファドと言えばアマリア・ロドリゲスが有名だが、よく知らないし、好きな方ではない(唯一 Alfred Marceneiro だけは例外なのだが)。また、伝統音楽の範疇だろう。最近のポルトガルものを知りたかったので、手始めに話題に上ることが多いこのグループのものを入手してみた。
ベースとなる旋律はファドのようだが、少なくとも伝統的ファドの様な感じはまったくしない。楽器はアコーディオンとギターなどのアコーティックが主体であり、キーボードは主に背景音を担当する。ドラムスは無い。
絶え間なく織り重なる伴奏にのせて テレーザ・サルゲイロ ( Teresa Salgueiro )がしっとりと透き通る様な声で歌い上げる。ゆったりと流れる様な独特のサウンドが特徴だ。タンゴの様なテンポが感じられるものも何曲かある。それでも、ビートの利いたロックの様なサウンドとは対極にあると言えよう。特にアコーディオンはこのサウンドに大きく寄与している。
テレーザの声はとても美しく、郷愁と哀愁と侘び寂びがごっちゃになった様な言葉では言い尽くせない、独特の感情が感じられる。これを聴いて心を打たれない人は居ないのではとすら思える。
特に Ainda と Milagre ~ Viagens Interditas は感動的だ。
今まで味わったことが無い感覚を得た。