それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ Action-2
少し前のアニメになってしまった。・・・原作はこの頃以来停まってるが。
アニメのサントラなのだが、ラジオドラマも収録。今までのWAVEとはアニメ化によってキャストが変わったところもある。原作から大きなアレンジを加えたアニメをしのびつつ、聞きなおしてみるといいかもしれない。
それゆけ! 宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ[完全版]Ⅰ (朝日ノベルズ)
1990年代に富士見ファンタジア文庫にて主力作品の一翼を担いラジオドラマにコミック、OVA・TVアニメにとメディアミックス展開されていたヤマモト・ヨーコシリーズでしたが、世紀の変わり目あたりでシリーズ完結を目前にしながらも新刊の刊行が停滞気味になって何時しか音沙汰もなく、富士見ファンタジア文庫のラインナップからも消えてしまいこのままヨーコシリーズそのものも闇に消えてしまうのかと思うようになり何年か過ぎた2010年の夏頃にヨーコシリーズが出版元を変えて再刊行されるとニュースを聞いた時には、「一体どうして今頃に?」とか「もしやヨーコがようやく完結する時がきたのか?」と喜びと驚きが合わさった気持ちでした。そして2012年7月現在、かつて富士見ファンタジア文庫にて刊行されていた全ストーリー分がノベルズ版で10巻分でコンプリートされ、後は完結編を残すのみという状況です(どうやら刊行間近みたいですね)。ちなみに庄司先生が後書きにて述べていますが当初は全5巻予定と宣言していたものが既刊分の本編12巻、外伝・再度ストーリー10巻の計22巻の長さ故に未定に変更(実際は1冊四百数十ページのボリュームのノベルズ10巻)されたというのは、痛いミスだったのではないでしょうか。
主人公である山本洋子をはじめとする現代(オリジナル刊行時の20世紀)の女子高生が1000年後の相対未来(いわゆるパラレルワールドの未来)にて宇宙に進出した人類の二大勢力に分かれて展開されている「人の死なない宇宙戦争」に乗り込んで一波乱も二波乱も巻き起こしていくというストーリーに、個性的な登場人物にスポーツライクな宇宙艦隊戦、銀河における人類社会の情勢、そしてその人類社会にも大きな影響を及ぼしている「オールドタイマー」と呼ばれる超古代文明の存在、という様々なスペースオペラのアイディアを散りばめ、さらにはアニメ・ゲームに関連したサブカルネタ(前世紀のものだけに時代が感じられますが)が随所に登場するという内容は今読んでも結構面白く感じられました。これも庄司先生が後書きにて書かれている事ですが、作中の時間経過と実際の刊行ペースが違うが故にずれが生じる事があるけれども、そのずれを無視しても執筆当時の空気を盛り込むことの方を優先したという事は、下手に現在の流行を持ち込むよりも正しい事だったのではと思っています。ちなみに個人的にはアニメ・ゲームのようなサブカルネタもさることながら、好きなスペースオペラ作品の一つである「ペリー・ローダンシリーズ」のネタも様々な所で使われていた事もかなりツボを突いていると思う所があったりします。本作の登場人物にもローダンに出てくる登場人物と同姓な人がいましたね、後地球人類を指す言葉のテラナーや上記の超古代文明のオールドタイマーといった単語や相対未来の宇宙における描写の中にもローダンシリーズから影響を受けたとおぼしき所がいくつか出てきたように思われます。
やはり本作は90年代にリアルタイムでヨーコシリーズに接してきた方だけではなく、リアルタイムでは知らない方々にも読んで欲しいと思っています。相対未来の宇宙を舞台に宇宙に進出した人類の二大勢力が展開する人の死なない宇宙戦争をベースにしてそこに絡んでいく様々なSFガジェットもさることながら、執筆当時の90年代のサブカルネタといったものは懐かしいと感じる方もいれば、「こんな時代があったのか」という新鮮な気分を持たれる方もいるのではないかと思う次第です。
それゆけ! 宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ 【完全版】11 (朝日ノベルズ)
もはや出ないと思っていた続きが出ました。
最終巻かと思ったら一歩手前だった。
しかし、前の文庫なりなんなりをもう一度
読み返さないと、訳がわからん。
とくにNESS側の名前とか関係がすでに忘却の彼方。
それゆけ! 宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ【完全版】10 (朝日ノベルズ)
タイトルにもあるように本巻でもって富士見ファンタジア文庫時代に刊行された内容は今回の新装版ではすべて収録済みという事になります。後は10年以上も待たされた完結編を待つのみ(もうそろそろ刊行されるみたいですが)となりますが、ここまで辿り着いたのが長く感じられました。
本巻に収録されている「君たちの知らないいくつかの出来事」は完全版第1巻に収録されている「洋子は無敵の宇宙戦艦」の前日譚ともいえる所謂「エピソード0」的なストーリーですが、ひょんな事から相対未来での宇宙に進出した人類の二大勢力で展開される人の死なない宇宙戦争に参加した主人公の山本洋子が、御堂まどかや白鳳院綾乃エリザベス、松明屋紅葉といった相棒ともいうべき仲間達のみならず、30世紀の相対未来における様々なキャラクターや遅れて現代から参戦した高取集をはじめとする洋子達のライバルキャラをはじめとする現実世界のキャラクターを巻き込んで波乱に満ちたストーリーを展開していくというのが、大雑把なヨーコシリーズの流れとなりますが、改めて本巻を読んで山本洋子というキャラクターは本当にパワフルな人間である事を実感させられました。個人的な印象としては同僚として一緒に仕事なりをするような事になるとキツイ所があると思いますが、離れた場所から一ファンとしては応援していっても良いなんて気持ちすらあります(笑)。それを思うとまどか達をはじめとするエスタナトレーヒ・チームの面々は宇宙戦艦のプレイヤーはもとより、人間的にも優れた人物という事にもなりそうですが・・・・・。
富士見時代のストーリーがコンプリートされた現在からすると、ヨーコシリーズの現実世界は東京都足立区が舞台(私は隣接県の電車で10数分という自治体に住んでいます)となっていますが、新刊のリリースがストップして以降シリーズにも登場した東京マリンが無くなったり、つくばエクスプレスや日暮里・舎人ライナーの開通などで90年代以上に交通の便が良くなった事や東京スカイツリーが隣接区に誕生した事等々の出来事を思うと、リアルの世界の変化の大きさというものが実感させられます。完全版の1巻の後書きで庄司先生は執筆当時の空気を優先すると述べられていましたが、そろそろ刊行される完結編でもそのあたりの事情はしっかりと尊重されているものと思う次第です(つまるところヨーコシリーズにおける現実世界の時間は1990年代が続いているという事になるので、何時の間にか東京スカイツリーが作中に登場なんて事にはならないと思いますが)。