Old Ideas
本当に聴いて、心地よい歌声と言うか呟き、アコギ、特にキーボードが渋い音色が実にいい感じです。
能書きなんか必要ない。聴いて、感じて、癒されて、感動する。
このCDを聴いてる、今は、1:11。make a wish
ベスト・オブ・レナード・コーエン
数多くのアーティストにリスペクトされる
レナード・コーエン。
それは、ニック・ケイヴからディランに
まで及ぶ。
初期の叙情性あふれる簡素な、
コーエンが、手首を切るための
音楽と称せられたのは、
云いえて妙か。
オールド・アイディア
「Ten New Songs」が出た時、これはLeonard Cohenの晩年の最高傑作だ、いや全キャリアを通じての最高傑作かも知れないと思ったのだが、
(そして次作の Dear Heather にはちょっと肩すかしを食ったのだが)
これは「Ten New Songs」に匹敵する、或いはひょっとして凌駕する作品だと思う。
77歳にしてこんな作品を生み出せるのは全く驚きだ。
私は何故か輸入盤を買ってしまったのだが、日本版を買うべきだった。
歌詞の和訳が必要だった・・・(笑)
以上。
LIVE IN LONDON [DVD]
レナード・コーエンの「スザンヌ」を初めて聞いたとき、彼の声、抑制された美しい旋律、そして詩的で深い歌詞に魅了された。彼が描き出したその歌の中の女性は、男性の無意識の中に存在する理想の女性像であるように思えた。その後、多作とはいえない彼の作品を、40年にわたって聞いてきた。すべての歌に感銘を受けたわけではないし、暗い歌が多く、万人向きではないとも感じてきた。
しかし、『ライヴ・イン・ロンドン』を聞いたとき、その印象は一変した。彼自身MCで、長い間苦しんだうつ病がよくなり「愉快な気持ちが抑えても抑えても出てきた」と語っているが、最後の曲「ウイザー・ザウ・ゴウスト」が静かに終わり、長く続く拍手喝采が鳴り止んだとき、その気持ちがぼくにまで伝染していることに気づいた。更にその後DVDで、彼の表情、仕草、ミュージシャンたちに対する接し方を見て、彼の抑えがたい愉快な気持ちが本物であることを確信した。
その「愉快な気持ち」を検証するには、『アイム・ユア・マン』(1988年)と比較してみるといい。このアルバムから「テイク・ディス・ワルツ」「タワー・オブ・ソング」など6曲が『ライヴ・イン・ロンドン』に収められている。アレンジもほぼ同じ。両者を聞き比べてみれば、すぐに彼の声が大きく変化していることがわかる。より深く、優しく、穏やかになっている。そこにハビエル・マス、ディノ・ソルドー等の卓越したミュージシャンの演奏と、シャロン・ロビンソンとウエブ・シスターズの「崇高なる」歌声が加わり、彼の「暗い」歌は、新たな生命が与えられ、以前よりも説得力を増している。
『ライヴ・イン・ロンドン』は、コーエンの語りや無垢な微笑み、丁寧な一人ひとりのミュージシャンの紹介、ミュージシャンたちのコーエンに寄せる畏敬の念、聴衆の拍手喝采、そのすべてが不可欠なコンセプト・アルバムであり、比類なき音楽体験である。DVDを見終わったあと、これほどに感動し、豊かな気持ちになったことは今まで一度もない。レナード・コーエンの『ライヴ・イン・ロンドン』体験は、すぐれた音楽セラピーであると言えるかもしれない。
レナード・コーエン伝
本書の帯には「この男の人生を知らずに生きるのは勿体ない。」と書かれているが、コーエンの女性に対する身勝手な振る舞いの歴史は、女性読者に嫌悪感をもたらすのではないのか。知らずに彼の音楽を楽しむか、知って彼の音楽に深さを見出すか...
訳者もあとがきで述べているが、資料は膨大だが整理しきれていない。例えば「彼は破産し、膨大な債務を抱えた(P.334)」と書かれているが、何故彼が破産したのかよく分からない。
ボブ・ディランにもルー・リードにも才能を認められており、母国カナダでは奨学金を得て、様々な多くの賞を受賞しており、なおかつコーエン自身が、ある自身の作品を「この分野ではジェームズ・ジョイスの『若い詩人の肖像』以来の最高傑作なんだ。僕は完全に、バカな文学者たちに無視され、葬られようとしている(P.151)」と言っている彼の詩集や小説が、‘翻訳大国’日本で何故ほとんど翻訳されていないのか不思議だ。