(日本人)
はっきり言って橘玲は経済・金融を語ってナンボだと思っている。
「残酷な世界」あたりから違和感がぬぐいきれなくなってきていたが、ここにきて、さすがに他の方々も同じ思いを抱き始めたらしい。
どこぞの文献から一部をかいつまんできて、自分の考えに沿うよう、ピースをはめていく。
見かけは重厚な内容に見えるが、どうにも学生のレポートの上位互換程度の気がする。
最近の橘玲は「進化心理学」といった、まだ世界を論じるのに用いるには早い未発達な分野(悪く言えば、トンデモ科学論)に傾倒し、無理やり世相をそこに当てはめる手法が散見される。
作家としてネタが無くなってきて経済・金融ネタでは飯が食えないので、別の鉱脈をさがしているのであろうか?
余談だが、巻末にある橘玲の少年時代の孤独のエピソードは「永遠の旅行者」の主人公の少年時代と全く同じエピソードである。
要するに、イマジネーションではなく自分の人生の只の切り売りなわけで、このままでは小説家としての未来も厳しいだろう。
黄色いバカンス
TVアニメ「ぱにぽにだっしゅ!」のテーマ曲。
アニメ監督は、あの「Neko Mimi Mode」で話題となった「月詠」の新房昭之。今回も期待に違わず、非常に凝ったOPとEDを見せてくれます。
曲調は、サーフミュージック的なバンドサウンドを基調に、フィンガー5を思わせるようなコーラスを配置。
グループサウンズを聞いて育った世代にはたまらない、レトロテイスト満点な楽曲です。
中途半端な古さというのは失笑モノですが、さすがに'60~'70年代まで遡れば、かえって今聞くと新鮮な印象があります。
でも、歌うのは今ドキの声優の可愛い声ですし、所々にシンセ音の遊びがあったりして、ちゃんと現在のアニメ音楽シーンから浮かないような配慮がなされています。
アニメのOPでは、この曲にサイケデリックな色調の映像をあわせており、より一層のレトロテイストを打ち出していて格好良いです。
曲のタイトルはザ・ピーナッツの「恋のバカンス」からでしょうか。あと、ハロプロ(つんく)の「黄色いお空でBOOM BOOM BOOM」が元ネタの一つだと思います。
「黄色」と「ミツバチ」を関連づける発想が同じですし、本曲にも「ブンブンブブブン」という歌詞が出てきますので。
当分、新房作品のOP/EDからは目が離せそうにありません。
大震災の後で人生について語るということ
ポスト3・11の人生設計とは――
私たち一人ひとりにできることは、「個人のリスク」を「国家のリスク」から切り離すこと。著者はそう結論づける。
そして、そんなことがもしも可能だとしたら、それは、ポスト3・11の現在が、最後のチャンスなのだ、という。
そして、そうしなければ、いつか、「この大切な故郷(くに)を守るひとはどこにもいなくなってしまう」のだと。
大震災後、橘氏が、やりかけの仕事を全て断って、呆然と過ごす日々ののちに、たどりついた、「その先に進む」ための思索が、まとめられている。
その結びに、「大切な故郷(くに)」という言葉が出てくることに、私はまず驚き、感慨を抱いた。その思索を、橘氏らしい実際的な分析とともにたどることで、読者一人ひとりもまた「その先に進む」手がかりを得られるはずだ。
貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する (講談社プラスアルファ文庫)
以前の会社法では、株式会社は1000万円の資本金と三名以上の取締役、一名以上の監査役が必要でした。
しかし、06年の新会社法では、株式会社は資本金0円、取締役一人以上で設立できるようになりました。
(この一人株式会社を著者はマイクロ会社と名付けています。)
個人業者にとって法人化は極めて大きなメリットがあり、
(1)収入を役員報酬・従業員給与等として親戚・家族に分散することができる。
(2)自宅を役員・従業員寮、自家用車を社用車にする等により、減価償却費を収入から差し引くことができる。
(3)その他、PC購入費、通信費、交通費等も実質的な生活費も収入から差し引くことができる。
(4)法人として制度融資を受けることができるため株式会社としての有限責任が保証される。
といった話をイソノ家を例にとって計算してみせます。
アメリカの類例が出てきたり、世間話にも飛んで行ったりするので、多少分かりづらくなっていますが、
要は日本における個人事業者の法人化のススメです。
結局、法人化する事業をもっていない一般サラリーマンにはあまり縁のない事かも知れませんが、
国を挙げて法人を徹底的に優遇し、アメリカ型の会社の多産多死社会を目指した法制度上の輪郭は、
改めて確認しておいた方が良いかも知れません。
なお「貧乏はお金持ち」とは個人の資産をマイクロ会社に渡すと個人としては貧乏になるが
会社を自在に使えるので事実上のお金持ちになれるという意味です。