部下をプロ人材に鍛える 三つのステップ―人材成長のためのリーダーシップ
巷には数多くのビジネス書が氾濫しており、内容も様々
である。多少堅さが感じられるタイトル「三つのステッ
プ」とあることが、まず目を惹きつけられた。
その三つのステップとは、一人前−>ベテラン−>プロ
に進化するまで、リーダーはどの様な指導をするべきか
を、著者の貴重な業務経験などで、非常に丁寧に説明さ
れている。
コーチングやティーチングの論理的な説明と共に、著者
が会社の先輩で出会った時に、贈られた言葉が非常に印
象的なのである。
「様々な出会いや初めての経験が、人を成長させる。」
「人生とは、感動の蓄積である。」
本書と共に、私自身も明日から業務を見直そうと、素直に
思える充実と感動の一冊である。
メディカルインタビュー―三つの機能モデルによるアプローチ
医療従事者、特に若い医師(コベン)ばかりではなく、中堅指導医(チューベン)、上級指導医(オーベン)、そして医療系に勤める臨床心理士にも是非一読してもらいたい本。「患者」に対する距離が一見近いように見えて遠い大学病院の「主治医」と呼ばれる人々には、是非自己点検も兼ねて読んで頂きたい。患者との関係を構築する時に、些細なことから、患者やその家族の不安・怒り・抑鬱を招いて、その心身の状態を悪化させる。「時間が無い」「急で困る」とムンテラを断られる時、余りに簡単な一言で済ませる時、専門用語でまくし立てられる時、そんな患者側の気持ちをささやかに代弁する要素を持つ面接法の教本です。
サティ:ピアノ作品集(2)
エリック・サティ(1866~1925)が現在のようにコマーシャルにまで多く用いられ、生活に浸透して行った『演奏者』としての最高の功労者はと言えば日本ではあまり評価が高いとは思われないアルド・チッコリーニだろうし、日本における最大の功労者は間違いなく高橋悠治・アキ兄妹だろう。
1980 年2月、ニューヨーク州立大学バッファロー校に付属していたセンター・オブ・ザ・クリエイティブ・アンド・パフォーミング・アーツ(創造的演奏芸術センター)のメンバーであった高橋アキは、このセンターのディレクターであった作曲家モートン・フェルドマンからそこでのリサイタルにメシアン・クセナキスの曲とともにサティの『5つのノクチュルヌ』を所望された。高橋アキは、渋谷にあったジャンジャンで足掛け3年間『エリック・サティ連続演奏会』を行っていてほとんど全曲を日本でおそらく初めて知らしめていたのだ。時にジョン・ケージが大きくエリック・サティに傾倒していて、ケージと30年来の友人であったフェルドマンがサティ*ケージ*高橋アキの3つを繋いだと考えられる。
その時兄高橋悠治はサティの音楽をより、音楽論的に作品分析を行っている。
例えば最も有名なサティの曲『ジムノペディ第3番』は、メロディーをMとし、前奏・間奏・後奏をLとして小節数を数えると次のような図式になる。
L4M9M7M7/L3M10/L2__M6M7/L5
かくて主旋律から伴奏和音が予想できず、あらゆる虚飾の剥ぎ取られた純な音が抽出され、音楽が生成されていく。
美しいサティの音楽がサロンに埋もれることなく、全曲を漏れなく今この耳に聴けると言う奇跡を起こした人、それが高橋悠治とアキだ。