黄色い牙
阿仁マタギを題材とした熊谷達也『邂逅の森』が注目されているが、私は四半世紀前の直木賞作品『黄色い牙』を思い出していた。2000年8月、阿仁町打当のマタギ資料館のガラスケースに文庫本を展示していたが、手にすることはできなかった。今回改訂新版を読んで、これこそ阿仁マタギを描写した文学だとの感を深くした。
阿仁町根子の更に奥、露留の里(露熊マタギ岩が現存するが)を舞台に設定し、巻狩りの様子、人間関係、稲作農業に頼らないマタギ生活を感動的に描き、旅マタギの途中で宿敵の渡り巨熊「鬼黒」との遭遇、鬼黒との決闘とも呼べる終末場面もすばらしい。
まぼろしのエゾオオカミ (「朝のときめく読書」シリーズ)
絵本だと思い購入したら、小学校低学年から中学年向きのしっかりしたページ数の物語でした。
子供が映画の「ウルルの森の物語」を見たあとだったので、日本のオオカミについて勉強するために
よい国語の教科書的に取り入れることができました。
図鑑とはちがい、心優しく感じることのできる話です。
志茂田影樹氏は奇抜な感じがして、子供の絵本については疑心暗鬼でしたが、読めば読むほど
奥が深く著者のファンになりました。
あわせて涙流しながら命の大切さを考える絵本「ぽんちとちりん」を強くお勧めします。