鴨川ホルモー (角川文庫)
最高にバカバカしく、読んでるうちに“そこはかとない”可笑しさがこみ上げる娯楽小説!
式神(小鬼)を統率して行う対抗戦『ホルモー』の500代目を背負わされた京大生。
先輩から伝授される、伝統と称した いかにも意味ありげな儀式や作法が大爆笑!!
代替わりの儀式で、代々歌い継がれている曲は、超有名な「昔なつかしのCMソング」。
式神(小鬼)を操るために、半年以上かけて覚えさせられる鬼語は、
「ぐああいっぎうえぇ」といった嘔吐(えず)くような発音のものばかり。(笑)
意味もなく、根拠もなく、品もない・・・でも長年続けたがゆえに“重みある伝統”に。
これが、いかにも学生っぽくて微笑ましい。
大学時代って、社会の得にもならない&害にもならないバカバカしいことを、
“本気でやる”ためにある時間なんだ・・・とあらためて感じました。
それにしてもこの本は可笑しい!!後からこみ上げる具合が他に類のない一冊です。
プリンセス・トヨトミ
京都・奈良に続く著者の伝奇(!?)小説の舞台は大阪 。大阪という街が持つ歴史的背景を縦糸に、周囲との関係に悩む主人公的な少年(少女)と周りの友人・大人の繋がりを横糸に、荒唐無稽な「大阪の公然の秘密」を書き綴っていきます。
私自身、幼い頃から本作の舞台・空堀商店街とその周辺の雰囲気に馴染んできたこともあってか、読み進める内に、嘗て自分自身が経験したか、のような既視感を感じてしまいました。『鴨川〜』や『鹿男〜』の舞台ほどメジャーではないですが、この小説の舞台を読後、廻って見ることをお薦めします。
『坂を抱いている』商店街や路地(ろじではなく「ろうじ」)を造る長屋達、そして「女の子になりたい」と少年が願掛けをした榎木の巳(みい)さんの祠まで。実際に歩いた上で、改めてこの小説を紐解けば、より愉しめると思います(すみません、思いっきり私情一杯のレヴューになってしまいました)。
鹿男あをによし DVD-BOX ディレクターズカット完全版
「面白い」ひと言で言うと、これにつきます。
大鯰を鎮めるために悪戦苦闘の数ヵ月。鹿や狐、鼠に
振り回される鹿男こと臨時教員の小川孝信(玉木宏)と
歴史オタクの藤原道子(綾瀬はるか)、そして謎の女子高生の
堀田イト(多部未華子)。
メインキャストの熱演に話が進むにつれてグイグイ引き込まれていきます。
そして忘れてはいけない喋る鹿。おっさん声のその鹿も
最初は嫌なヤツですが、しだいに憎めない不思議な信頼関係に。
美しい奈良を舞台に丁寧に作られた「鹿男あをによし」。
このドラマをキッカケに奈良旅行に
出掛けた人、出掛ける予定の人は多いはずです。
視聴率は振るわなかったけど満足度は充分です。
未見の人は是非どうぞ!ハマった人は予約して発売を楽しみに待ちましょう。
IN 吹奏楽~TVドラマ編
自分が所属するバンドでやるのに参考にしようと思って購入しましたが、ニュー・サウンズ・イン・ブラス同様、今だけではなく、何年後かに聴いても楽しめるような選曲だと思います。
アレンジが、オリジナルに限りなく近いか、ニューサウンズのような思い切った別物として聴かせるか、そのどちらでもない感じがミュージックエイトの味でしょうか(笑)アマチュアが無理なく演奏できる譜面ということが最大の良さですからね。
でもそれをプロの演奏で聴けるというのが嬉しいです。
鹿男あをによし (幻冬舎文庫)
読んでいると、どこか憎めない著者の姿が透けて見えてくるような気がする。二分法で行けば、東大系と京大系なら(当然?)京大系。正統と異端であえて分類すれば異端。自宅派と下宿派ということなら下宿派。
そうしてみると、世代は大いに異なるが、庄司薫がその補色として連想されてくる。読ませる力があるのが両者の共通項というべきか。
カバーの絵もとぼけていて好感が持てる。前著「鴨川ホルモー」ではカバーの絵が結末を予測させるようでちょっと面白くない面もあったが、今回のものはそういうこともない。
最近始まったテレビドラマの方は、原作の奇妙な味がよく出ている。