恋騎士 Purely★Kiss 初回限定版
ご存知のいちゃらぶ設定のエロゲ。他のエロゲと差別化したかったのかよく分からないが、自分には騎士設定はいらないと思った。普通に学園生活をモデルとしたものでも良かったんじゃないのかと。しかし絵はかなり良い、登場人物もいらつくようなキャラはいなく誰プレイしてもすんなり入れると思います。
キャラでおすすめは由宇。設定は主人公の妹。序盤からかなりデレデレのようで、若干やんでそうな場面もちらほら(ヤンデレの度合いはほぼ無いといってもいいような程度)妹キャラは受け付けないって方でなければはまるかもしれない。
ドラゴンクエスト列伝ロトの紋章~紋章を継ぐ者達へ~(14) (ヤングガンガンコミックス)
『ドラゴンクエスト列伝ロトの紋章~紋章を継ぐ者達へ~』には勇者の一行に、やる気のなさそうなネガティブな人物がいる。日本には頑張ってチャレンジすることを評価し、無理と即答した人を「挑戦してもいないのに無理と言うな」と非難する特殊日本的精神論が横行している(林田力「『家政婦のミタ』『専業主婦探偵』 ガンバリズム否定の労働者像」リアルライブ2011年12月27日)。その種の特殊日本的ガンバリズムが胡散臭くなった現代において新鮮味のあるキャラクターになっている。
そのキャラクターは『ドラゴンクエスト列伝ロトの紋章~紋章を継ぐ者達へ~(13)』で覚醒し、これから活躍を見せるのではないかと期待させたものの、『ドラゴンクエスト列伝ロトの紋章~紋章を継ぐ者達へ~(14)』では力に飲み込まれるという結果に終わった。ピンチに陥ったところでパワーアップするという安易な展開に進まないところが興味深い。『紋章を継ぐ者達』は前作の息子達が活躍する二世漫画である。二世をヒーローにするところに親の財産で子どもの人生が決まる格差社会の現実が反映されている。二世ではないキャラクターの安易なパワーアップを許さないところも格差社会的である。
これまでの『紋章を継ぐ者達』は人間と魔王に率いられたモンスターの対決というドラゴンクエストの設定から外れていた。この巻で、ようやく魔王的な存在が浮かび上がる。それでも人間は互いに抗争を続けている。現実社会にも重ね合わせたくなる展開である。(林田力)
RECORD(アース・スターコミックス)
藤原カムイというのはもともと器用な作家で、本来のメビウスに影響を受けた繊細な絵柄のほかに「ロトの紋章」では少年誌風、「雷火」では劇画調など様々なタッチを使い分ける漫画家でした。メビウスは本名のジャン・ジローで「ブルーベリー」という西部劇(劇画タッチ)を描いているのですが、器用さという点では大友克洋より藤原カムイの方がメビウスに近いポジションにいると思うのですよね。
「ロトの紋章」では意図的に鳥山明の絵柄に似せていたと思われるのですが、思いがけず(失礼!)この作品が長期化したことによって、借り物の絵柄が代表作のようになってしまいました。作画のデジタル化も手伝ってか、ここ数年の作品に対してはかつての「線に対する思い入れ」のようなものを感じられず、期待したLSDもいまひとつだったので、個人的にはあきらめに近い感情を抱いていました。
しかし、この作品にはいい意味で期待を裏切られました。絵柄はGペンによる変化のある描線と本来の繊細さがちょうどよいバランスで融合し、なにより生き生きと描いているのが分かります。ストーリーについて詳しくは書きませんが、箱庭的な世界観の作り込み、SF風味のスラップスティック、実験的な要素の盛り込み・・・そうです、こういうのが読みたかったんです。
これはまぎれもなく藤原カムイの「復活作」です。ここ数年の氏の作品しか知らない方は、是非。