口紅水仙―蟹座牡羊座魚座双子座 (シリーズ星座の女)
私は、この中では表題作となっている「口紅水仙」が一番好きです。
さすが、モントリオール国際漫画賞一位を獲得した作品だと思います。
秀逸なのは、審査員達も絶賛したという、暁子の姿が蛍の光の中で浮かび上がる、
夢幻的なシーンです。
もう、現代の漫画の中では、ほとんど見られなくなった、
何ともいえない情調が、出ていると思います。話の内容自体も、聖性と魔性を併せ持った
魚座の女性である暁子が、半ば無自覚に男達を翻弄する、読み応えのある内容と
なっていると思います。私は、この星座の女シリーズでは、魚座の女性の話に一番
興味を持っていました。
まさに期待を裏切らない内容となっていました。妖女というと、
蠍座の女性にも、そういうイメージがありますが、蠍座の女性はどこまでも自分の行動には、
きちんと自覚がありそうな感じなので、私は妖女というと、魚座の女性というイメージを持っています。
「赤い失速」は、自分の不安から、どんどん落とし穴にはまっていく人妻の様子が、凄くリアリティーがあるような感じで、最後までドキドキしながら読みました。
源氏物語 (1) (小学館文庫)
私がはじめて読んだ源氏物語の劇画である。登場する女君達はステレオタイプな解釈ではなく、独自の視点で捉えられており、全体に女の感情を色濃く絡めてある。細かな部分に平安の情緒と古きよき劇画の風情がほどよく漂い懐かしい感じもする。作者とお話した機会に六条御息所がチャーミングで好きだと仰っていらっしゃいましたので、確かにどの加工作品より好意的に描かれている。