さまよえる脳髄 [VHS]
この作品における脚本、演出は乱暴に過ぎます。荒唐無稽な精神鑑定、考えられない大病院の杜撰なセキュリティ、実際にはあり得ない警察の捜査と捕り物、脳の障害についての説得力のない解説等など。この辺りがもっと丁寧に描かれていたら優れたサスペンスに仕上がっていたかもしれません。とはいえ、まったくの失敗作かというと、そうでもないのです。ラストまでなかなか
面白く観ることが出来ましたし、それなりに評価したいのです。ですから尚更、秀作にもなっただろうに惜しいなあ、と思ってしまうのです。
この作品における脚本、演出は乱暴に過ぎます。荒唐無稽な精神鑑定、考えられない大病院の杜撰なセキュリティ、実際にはあり得ない警察の捜査と捕り物、脳の障害についての説得力のない解説等など。この辺りがもっと丁寧に描かれていたら優れたサスペンスに仕上がっていたかもしれません。とはいえ、まったくの失敗作かというと、そうでもないのです。ラストまでなかなか
面白く観ることが出来ましたし、それなりに評価したいのです。ですから尚更、秀作にもなっただろうに惜しいなあ、と思ってしまうのです。
おれたちの街 (集英社文庫)
待ってました!な御茶ノ水署シリーズ4巻。
警察小説だけど殺人の起こらない、肩の凝らないユーモアミステリー。
今回は新キャラ立花も加わり、斉木・梢田・五本松との絡みも上手くて始終笑いが絶えない展開に楽しい一時を過ごせました。
単品読みでも充分楽しめますが、シリーズ1から読むともっと楽しいですョ!
(シリーズ1〜3は文庫にもなっています)
暗殺者の森 (100周年書き下ろし)
本当に心待ちにしていた一冊。逢坂さんはもう北都のこともヴァジニアのこともわすれてしまったのかな、と不安になったこともありましたが、ようやく、です。
「七月二十日事件」〜「ヴァルキューレ作戦」発動のあたりが今回の話の中心です。と、偉そうに書いても第二次大戦の欧州の動向について全く無知で、初めて知った内容でしたが。
ただこのイベリアシリーズを北都とヴァジニアのラブストーリーとして読んでいる私にとっては、ふたりの全く関与しない事件の記述が本書の大部分を占めており、教科書を読むような(退屈な)時間ではありましたが、舞台がベルリンと言うこともあり、特に後半にかけて、単なる脇役と思っていた尾形が大活躍をしてくれました。
胸を熱くさせるような前作のラストシーンから、本書では多少なりともふたりの関係が深まるのを期待していたのですが、さずがヴァジニア、あそこまでの目にあっても、決して負け犬にはなりませんでした。不屈です。ジェームズ・キャメロン映画のヒロインにもひけを取りません。今や彼女の「敵」は英国内部にあり、その敵を暴き出すべく戦うのです。
でもそのヴァジニアにして、どんな逼迫した状況であろうともナオミには張り合ってしまう可愛らしさ。
本当に強くて本当に可愛らしいヴァジニアが、変わらず本書にもいました。
個人的に猛反省しているのが、前作を読んだあと堪えきれずに、実在する主要な登場人物の「その後」を、軽率にもネットで調べてしまったことでした。無知なまま知らずにいれば、ふたりと一緒になって、歴史の展開に立ち会うことができたものを。「よく知らない」という方には、ぜひそのままで、本書の展開の中で知っていくことをお薦めします。
そして本作も、最後の最後に、息が止まり、知らずに涙が流れてしまいました。
こんな狂おしい気持ちで、次作を何年待たなければならないのでしょう。
でも、ドイツ、日本の敗戦まであとわずが。完結してしまうのも悲しい。
「百舌」の新作と併せて、じっと静かに待ちたいと思います。
兇弾 禿鷹ⅴ (文春文庫)
禿鷹シリーズは好きで文庫でずっと読んでいました。前作で禿鷹が死んだ時
正義の味方が出てこないこのシリーズを好きだった私はがっかりしておりました。
禿鷹のクールで悪徳なキャラは代わりの登場人物では埋めきれませんでしたが
ストーリーはなかなか面白かったです。
あの悪徳の禿鷹に迷惑をかけられつつも、変なシンパシーを感じていたのか
手を組んで復讐に動くという設定が良かったです。
あと、唐突にメインステージに登場の禿鷹の妻。魅力的でした。
裏帳簿の奪い合い、悪徳な警察関係者の暗躍。
面白かったです。
ただ、やっぱり一味足りないのです。
時代を遡って禿鷹を生き返らせてほしい・・・と思うワガママな気持ちが強くなりました。