モオツァルト・無常という事 (新潮文庫)
小林秀雄のエッセイを読むと、たいがい一言鮮やかな切り口の言葉で決められる。快感である。
「花の美しさなど無い、あるのは美しい花ばかりである」
「無情とは人間の一瞬の動物的状態である。」etc。
読んだら忘れられない仕掛けになっている。
読んだ端は、生半可な理解だったり、判らなかったりしていても、何度も繰り返し「決まり文句」を愛玩している内に、はっとする瞬間が訪れる。
彼が、言いたかったのは、このことだったか!と思うときが必ず来ます。でも、油断は、出来ない。さらに何度かはっと来て、もしかしたらここまで深い意味があったのかなと何度も何度も楽しませてくれる。
こんな、鋭いコピーをこれほど多くモノに出来た、小林秀雄、やはりただ者ではない。
Herbert von Karajan : Beethoven Symphony No.9 "Choral" [DVD] [Import]
カラヤン指揮ベルリンフィルによる、ベートーヴェンの第九です。収録は1983年9月21日から28日となっているので、コンサートのライブ録音というよりは、ビデオ撮影のための演奏と考えたほうが良さそうです。
演奏はカラヤンの他のDVDと同様、完成度の高いもので、オーケストラのみならずカメラまでカラヤンの指揮で動いているようにみえます。
このDVDに収録されたボーナスのコンテンツの中で、録画されたベートヴェンの第五を観た人が、初めてその曲を「聴いた」と電話してきたエピソードを紹介し、カラヤンは音楽鑑賞における映像の威力を説いています。このビデオの映像がある意味「作り過ぎ」と見えるのも、音楽だけでなく映像でも何かを表現しようとするカラヤンの意気込みが反映しているものと思われます。
日本版のレビューで指摘されているように、この折り目正しい演奏が一見冷たく見えるのも事実ですが、それは第3楽章までのこと。第4楽章になるとカラヤンまでが合唱とともに口ずさんでいます。
一説によると、カラヤンは第九を収録するためにCDの収録時間を70分にするようにフィリップスに提言したそうです。そこまでカラヤンがこだわった第九です。ぜひお勧めです。
なお、このDVDは輸入版ですがRegion ALLですので日本のDVDプレーヤーで再生できます。
ベートーベンソナタアルバム (1) 全音ピアノライブラリー
他の版に比べて値段はまだ安い方だが、なかなか。
こだわる人にはおすすめできないが、ベートーヴェンはぜひ一度は弾いておきたい。ってな人にはこの楽譜で十分だと。専門的に勉強する人は、ヘンレ版などを使うといいでしょう。
運指に関してはいいと思いますが、ペダルに関してはNG。
ペダルを自分で考えて少しいれていきましょう。