枕橋の御前 女剣士 美涼1 (二見時代小説文庫)
枕橋の御前と呼ばれる旗本の若隠居「本多隼人正」と彼の養女であり弟子でもある美少女剣士「美涼」、
そして美涼に危ういところを助けられた島帰りの大店の長男坊「竜次郎」の3人を中心に物語は展開します。
まず面白いのは隼人正と美涼の関係。
養父養女の親子関係なのか、剣術の師匠と弟子の関係なのか、将又、お互い惹かれあっている歳の差、訳ありの男女なのか?
全てにおいて二人の腹の探り合いと駆け引きが面白く、また、お互いそれを楽しんでいるかの様です。
竜次郎他の周囲の者にとっては全く持って「ややこしく面倒な二人」に過ぎませんが、
親子、師弟、男女のそれぞれの立場立場での心の機微を微妙に描いており面白いと思います。
作品の描き方もちょっと趣向が凝らしてあります。
物語の途中途中に隼人正と美涼との出会いを入れるなど再三場面が飛びます。
隼人正と美涼を襲う刺客との戦いなど楽しみです。
皇帝秘文 (幻狼ファンタジアノベルス)
藤先生が、久々に中華風活劇を書いてくれた。
物語はその題名通り、秘宝『皇帝秘文』にまつわる人間模様。
主人公の秋兄こと無敵の男装の麗人やら、盗賊の女頭領やらの威勢の良い女子を含め、オカマの怪力僧侶だとかヤクザのお坊ちゃんだとか、彼女の初期のシリーズ『開封死闘演舞』のような個性あるキャラ達が、気持ち良いほど剣を振り回し奔走してくれる。
特にこの主人公のカッコよさは、ツボだった。
『開封死闘演舞』といえば、この小説の脇役が『開封〜』の主人公同じ名前の芙蓉棚という女劇団(宝塚?)の女優だったり、ファンをニヤリとさせる演出も憎い。
是非続巻が出て欲しいものである。
この主人公のカッコよさは、女性読者にはたまらないのでは?
男装の麗人、女剣士、中国活劇 のキーワードに萌える方にお勧めの一冊。