ノスタルジア
タイトル通り、どこか懐かしさを感じる歌の世界を中島愛が好演。
作詞の春行が描く、味わいのある「ありがとう」という当たり前の
言葉に込められた思いが、誰もが歩いてきた道の後ろに存在している
甘酸っぱい思い出を豊かに描き出す。子供時代の幼馴染だろうか、
何気ない、けれど宝物のような大切な人との思い出...決して遠い
リトグラフの中に閉じ込めるのでなく、いつの日も思い出すことが大切―、
切々と感情豊かに歌われるその思いに、よい曲であると素直に実感。
c/w4に収められた(Vocalなし)ピアノヴァージョンのメロディ自体も、
心の琴線に触れる切ない優しさとあたたかさを滲ませ聴き応えがある。
今回以前より、よりポップになった中島愛の歌声が定着してきたと
感じる。それは前作マキシで証明済みでもあるが、さらに味わいのある
楽曲も歌えるようになってきた頃の作品。その満を持した彼女が歌う、
リンミンメイ飯島真理「天使のメロディ」は、まさに感激もの。
飯島のオリジナルより、さらにポップなアレンジと爽やかな歌声で、
しかし当時感じた豊かな歌の魅力を余すところなく表現しており、
思わず共に口ずさんでしまう。やはりよい曲は、こうやって歌い継がれる
べきと実感。そしてさらにまめぐ歌声の魅力も同時に堪能できる良曲。
無伴奏混声合唱による日本名歌集 ノスタルジア [増補版]
珠玉の合唱曲を紡ぎ出している信長貴富が、日本の懐かしい唱歌に抒情あふれるアレンジを施した無伴奏合唱作品です。譜面ズラは一見簡単そうに見えますが、ハーモニーが凝っており、各パートの音程がぶつかることにより、取りづらくなっているのには注意が必要です。もっともそれゆえこのような美しい合唱作品に仕上がっているわけなのですが。
歌っている者や聴いている者の心に安らぎを感じさせ、精神的な疲れが身体から溶け出すような感覚に襲われるのは、この信長貴富の編曲の秀逸さによるものだと思います。幼い時から親しんだこれらの曲は、皆が知っているだけに凡庸な編曲と不揃いの合唱で聞かされると大変ですので。
信長貴富の魅力は、その創り出す万華鏡のようにキラキラと変化する和声進行がキーポイントです。小節が進むにつれ色合いが変化し、ハーモニーの多彩さが魅力となりますので、少しの音程の乱れによっても曲の透明度を濁らせることになりますので注意が必要です。アマチュア合唱団がこの合唱作品を取り上げる際、音程の確認には十分に時間をかける必要があります。
とはいえ、瀧廉太郎の「花」「箱根八里」に始まり、「朧月夜」「故郷」「浜辺の歌」「砂山」「ペチカ」「赤とんぼ」「この道」「椰子の実」などは、日本人の心の奥底に流れている懐かしさの原点とも言える曲ばかりですので、これからも歌い継いでいく必要性を強く感じる曲群でした。
全部で16曲の混声ア・カペラ作品ですので、各合唱団のステージ構成にあわせて曲目をピックアップすれば良いでしょうし、アンコール・ピースとして歌うのもまた雰囲気があって良い感じになると思われます。
サクリファイス スペシャル・エディション (2枚組) [DVD]
まずは再発売されてよかった。とてもうれしく思います。(随分待たされましたが…)
すでに何度も観ている作品なのですが、今回もまたタルコフスキーの世界に満たされました…。
商品の仕様もとても良かったと思います。
特にジャケットデザインが嬉しい。生命の樹を植えるシーンはこの映画を象徴していますから…。
(このメーカーのDVDは少々値がはりますが商品は良いものが多く好感が持てます。 I●Cからの商品も見習って欲しい。『ストーカー』のデザインなど泣けてくる。似たような価格でもこのメーカーの商品には解説の冊子も付いてくるし、できればこのメーカーで出し直してくれないだろうか…。と思ってしまいます)
特典ディスクでは、タルコフスキーが終盤の驚異的な長回し(家が燃えるシーン)を演出する姿がを見ることができました。妥協なく取り組みながらも快活でときには《笑顔》も見せる姿が意外でした。
思いつめた深刻な映画…というのが本作の印象だったのですが、それだけでなく『ストーカー』や『ノスタルジア』での内省的なスタンスから未来への希望(いささか逆説的ではあるのですが…)といった意味を含んでいったのがこの映画なのかもしれない…。タルコフスキーの姿を観て(自分の中で)すこしまたこの映画の解釈が広がったように感じます。
そのほかタルコフスキーが息子と再会する場面や、病床から編集の指示しているシーンなどもあり、印象的で興味深いディスクでした。
全体的にみて納得できる良い商品だと思います。今回の再発売に感謝しています。
Natukage/nostalgia
この曲を聴くと自然とAIRの感動が蘇ってきます ボーカルのLiaさんは流石ですクリスタルボイスは伊達じゃないですね 純粋な気持で聴けば心に響く そんな曲だと思いました
ノスタルジア [DVD]
タルコフスキーが言っていることで興味深いのは、
「映画においては、説明は必要ではないのだ。そうではなく、直接的に感情に作用を及ぼさなくてはならないのだ。こうして呼び覚される感情こそが思考を前進させるのである」という言葉。
タルコフスキーの書いたものを読むと、実に内省的、宗教的な、本物の芸術家の声を聴くような深さと、それゆえの深刻さとを感じる。
それは時に悲劇的にも思われ、彼の精神の内部に関わるのはとても重苦しいような、敬遠したいような気持ちにも襲われるかも知れない。
「ノスタルジア」という映画の語源は、ロシアでは、病に近い望郷の念を言うようで、タルコフスキーによれば「死に至る病」となるようである。
この映画と「惑星ソラリス」や「ストーカー」、この3本が最も印象にあるのだが、そのどれもがその--ノスタルジア--を語っているように思う。
それは彼の言うように、説明されえない、時にあまりに個人的、内宇宙的な、世界への宗教的な想いであったり、修行僧の懺悔のような告白のようであったりする。
「ノスタルジア」の、観客まで息苦しくなってくるような緊迫した長い凝視を要求する映像で描かれる、登場人物の世界を救済するという個人的な儀式・・。
模倣しようとすればきっと恥ずかしくなる、その驚くべき映像の内的必然性から生まれる独自性。
彼の最後の作品の題名が、彼の内面の内へも外へも、彼の精神の運動のすべてを言い表わしているような気がする。
それは「サクリファイス」、犠牲という言葉である。
タルコフスキーを想うと、むかしむかし、西洋の厳格な修行僧が同時に求道的な芸術家であったような時代の、そういう時代に存在したかのような男のシルエットが浮かんでくる。