玩具修理者 [DVD]
角川ホラー文庫
賞を取った作品は映像化。
だから映像化されたのだと、頭に置いておくと良いでしょう…
そもそも、
小林泰三先生の小説、
しかも玩具修理者を映像化は、かなり無理がある……
にしても、あまりに残念な出来でした…
三輪さんのお声に星3つ。
完全・犯罪 (創元推理文庫)
10年09月の単行本の文庫化.ポップなカバーイラストとは大違い,確実に読む人を選ぶ作品で,
全編に漂っているのは,グロテスク,ナンセンスなど,不快で負の感情が湧き起こるものばかり.
特に,一篇目はコントをも思わせるコミカルなタッチで,ほかの篇でもこの調子かと思っていたら,
次では狂気すら感じる内容にガラッと様変わりし,これ以降はどんどんと『重さ』が増していきます.
その眉をひそめるほどの苦々しい描写は,途中で読むのを止めたくなってしまうほどなのですが,
無邪気な残酷さや不条理なやり取り,皮肉に,どこか同調,理解できてしまう部分があったりもし,
そんな自分に驚き,嫌悪しながらも,ネットリとまとわりくイヤな空気が抜け出すことができません.
また,ブラックとしての怖さのほかに,ホラーとしての怖さもあり,二重の恐怖がより印象を強めます.
とはいえ,おすすめはしませんし,二度と読みたいとも思えません.でも面白い.不思議な一冊です.
惨劇アルバム (光文社文庫)
光文社からの出版作、ということで薄々前作セピア色の凄惨と似たような形式のものなのではないかと予感していましたが、想像どうりマジキチ系ホラーギャグ連作短編でした。
前作同様どこか頭のおかしい狂人たちが、その狂人の論理展開故に陥る凄惨な運命を描くホラー短編。
そのあまりのブレの無いきちがいっぷりに読み始めた当初はイラつきを覚えますが、ひと山越えるとだんだん笑えてくる、という特徴も前作と重なります。
論理も過ぎればマジキチに・・・天才と強靭は紙一重みたいな感じですね。
作風的に小林先生色がよく表れていますが、クセが強すぎて読み手を選ぶ作品だと思います。
客観的に評価するなら星3つが妥当かな?
天獄と地国 (ハヤカワ文庫JA)
この人の作品を読むのは、AΩに続いて二作目。
AΩでは、冒頭、ハードな宇宙異世界描写が続いたけど、これは、全編そんな感じ。
ただし、この作品では登場人物たちは、ただの人類だけど。
失われた超科学によって作られたであろう、重力の方向が逆転した人工宇宙世界が舞台。
その世界設定と、そこに取り残され、忘れ去られ、あるいは幽閉されたであろう、人類の生活ぶりをまずは徹底した描写で描いている。
重力が逆転してるから、天井にぶら下がりながら、行動するのよ。
で、失敗したら、宇宙に落ちていくわけ。
過酷な世界でぎりぎりの生活をする村人たち、それを襲撃略奪する空賊、そのおこぼれを狙う落穂拾い、そして超古代兵器を武器に勢力を誇る帝国。
個人的なビジュアルイメージは二瓶勉のバイオメガの後半の宇宙世界を連想しながら読んだ。
そして、この世界で何とか生きながらえている落穂拾いが偶然見つけた、古代超科学遺跡兵器を頼りに、この世界を脱出して本当の?正しい重力?の世界へたどり着くまでの冒険譚が物語になっている。
超兵器同士の決戦、攻略を軸に、スペースオペラとして、面白く一気に読める内容。
宇宙船もたくさん出てくるし、宇宙船同士の攻防戦や重力の逆転した真空世界の描写等もおもしろい。
宇宙、真空が舞台にもかかわらず、AΩでもそうだったけど、この作者の趣味なんだろうけど、なぜかグロで汚く臭い描写も満載だ。
そして、ついにたどり着いた表の世界がラストシーン。
最後に何が起こっているのか、続編はあるのかな。