テルマエ・ロマエ IV (ビームコミックス)
星3をつけましたが、1〜3巻は文句なく星5です。
大変楽しみにしていたコミックですが4巻目を迎え
長期連載を意識したのか3巻(基本的に1話完結だった)
までの趣と異なっています。
第4巻もつまらないわけではないのですが
夢中になるわけでもなく、読み進めて行くうちに
もうこれまでのワクワク感は味わえなくなると
思うと正直悲しくなりました。
第4巻を読む限り、残念なマンガに成り下がって
ゆく香りがプンプンしてますので、作者の方には
是非とも私の予想を外して頂きたいものです。
テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)
まじめで謙虚な浴場設計技師ルシウス・モデトゥスが、紀元2世紀のローマと現代日本の風呂の間を度々タイムスリップ。日本の風呂各種で体験した諸々のアイデアをローマで展開し、当代一の名声を得るが、平たい顔族(日本人)から学んだことばかりなので謙虚に内心悩む、という抱腹絶倒の話です。一家6人で腹を抱えながら読みました(大爆笑)! ルシウスの姓の「モデトゥス」は謙虚という意味だと思います。英語でmodestですね。
実は、私は、この本のおかげで、ハドリアヌス帝(在位117-138)の愛人、アンティノウスの大理石の像を新橋で発見しました。
本の中ごろに、愛人のアンティノウス(18歳位?)がアレキサンドリア郊外のカノプスで溺死したため、ハドリアヌス帝が追悼として、英雄や神々に模したアンティノウスの像をたくさん造り(数10体か数100体か?)、ローマ帝国中にばらまく話が出てきます。
ルシウスの友達の彫刻家マルクスが、20体くらい注文を受けてふうふういいながら造っているところに役人が見回りに来て、そのマルクスの仕事場にしつらえてある家庭風呂を見てびっくり。ルシウスが日本のマンションの風呂にタイムスリップして見てきたものを、マルクスの年老いた師匠のために作ってやったんですね。その役人は、さっそく風呂大好き人間のハドリアヌス帝にご注進に及んで・・・というお話ですが、その山のようにつくった若いお小姓の石像のひとつが、なんと、
東京都港区新橋5-22-10 松岡田村町ビル(日比谷通りに面しています)
の前に立っています。ここは、現在は白金台に移った松岡美術館があったビルで、その名残で、何体かの石像がビルの中と外に陳列されています。
私はこの場所に石像があるのはずいぶん前から知っておりましたが、特に興味を持って詳しく見たことはありませんでした。ところが、この風呂漫画を読んで数日たったある日、何気なく通りかかったついでにその石像の下の解説版を覗き込みましたら、ハドリアヌス帝の愛人のアンティノウスを記念して造られた像で、ローマの外港、オスティアで発見されたものだと書いてありました。まあ、その偶然にびっくりしましたね。まさか、漫画で観た一シーンに描かれていた石像を、しかもその本物を目にしていたとは(笑)!
ちょっと面白かったのは、マルクスが彫っていた石像は全裸でお尻がぷりぷりでしたが、新橋の本物は、衣を着けていて、お尻はそれほどふくらんではいませんでした。
ただ、いわゆるギリシャ・ローマの筋骨隆々の男性像とは違って、どちらかといえば、すこしふっくらしているんですね(笑)。以前、通りすがりに眼に入った石像の印象はというと、なんで肉体美じゃないのかなあと不思議に思っていました。その日は、どういういわれの像だったのか、なんでふっくらしているのか、すべての謎が解けたんですね。もう一人で大笑いしてしまいました。
オスティアというと、ローマの南西にあり、ティレニア海(地中海)に面した外港で、ハドリアヌス帝が整備したローマの玄関口だそうです。そこにあった像ということは、たくさん造った像の中でも、本人によく似ているとか、なにかポイントがあったのではと勝手に想像しています。
もし、新橋方面にお出かけの時があれば、覗かれてみてはいかがですか(笑)。
テルマエ・ロマエ IV 特装版
ルシウスの苗字モデストゥスは英語のmodest(控え目、謙虚)に相当する、と
思っているのだけど(違ってたらゴメンナサイ)
彼の性格はまさに謙虚!!の一言である。
誇り高き古代ローマ帝国人として、皇帝や帝国を人一倍愛してはいるが
属国と信じて疑わない「平たい顔族」に対して
決して驕り高ぶることなく、彼ら(あ、日本人ね)の風呂文化の素晴らしさに
驚嘆し、素直に敬い、そしてその技術をローマ帝国の繁栄のために活用する。
自分は一介の技術者である、と常に己の領分をわきまえ、
不器用だろうが、恰好悪かろうが
自分の仕事を少しでも良くするためにまい進する。。。
ひいてはそれが国のためになる、と信じて。
これって、高度経済成長期の日本に沢山いた
日本のお父さんの姿そのものではないだろうか。
(仕事が忙しすぎて奥さんに愛想つかされるエピソードなんて
身につまされる)
そんなルシウスだから、この4巻で
なぜかローマに帰れなくなっちゃっても
とにかく少しでもいろんな技術を理解して、帝国に持ち帰り
皇帝のお役に立とう!と頑張るのだ。
今回は日本に長期滞在!?ということで
なんとラテン語を解する女性が登場し、
彼と意思疎通ができる、という新展開になった。
この先、どうなっちゃうんだよ!!という
期待感が膨らみすぎるこの4巻。
コミックビームを買ってもいいんだけど
それだと毎月毎月、期待感を持たされて
精神的に疲れそうなので(笑)
やっぱり5巻を待ちます。
で、つぎの特装版のオマケはなんだろう?
テルマエ・ロマエ IV お風呂で読める「風呂マエ・ロマエ」付 Amazon限定版
1575円は高いと思っていたのですが、風呂マエは意外としっかりとした製本で、厚みもあります。120ページちょっとです。
中の漫画は過去のものですが、新たに著者と編集長の『世界いきあたりばったり人生』が語りおろされています。これも面白いです。
買ってよかったと思っています。 でも高けぇ…。
2050年のわたしから
慶応の金子教授による
2050年の未来社会シミュレーション物語。
定規を使って過去のトレンドを未来に延長するという、
非常に単純な手法が用いられているので、
現実はもっと複雑に、様々な要因が組み合わさって
進行していくのだろうけれど・・・
こんな未来はあり得ない!!と言い切れないのがツライ><;
現在の日本経済&政治が継続されていったら、
こんな未来にもなり得るのかぁって思うと、ため息。
正社員ゼロ、年金も保険も崩壊、
新しく生まれる生命もなく、荒れはてた街・・・
こうした絶望的な状況に対する
金子教授なりの処方箋も示されているので、
単に暗い未来社会の到来を予想しているだけのものではないけれど、
この本を読んでみて、
苦手とかわかんないって匙を投げるのではなく、
現状認識をきちんとするようにしていかないといけないなぁって思いました。