日本の歌-Japanische Lieder
ウィーンのコンサートマスターをつとめるライナー・キュッヘルによる
16曲の日本の歌を集めたCD。
キュッヘルの奥様は日本人で大変な日本通としても知られています。
このCDでは日本の曲を時には軽やかに
またのびやかに捉えて
キュッヘルのボウイングの技巧などが
あますところなく使われて
日本の風景が表現されています。
全曲楽譜付 たのしいこどものうた600選
休日、ギターを練習していると、娘に、ギターはしないの!と叱られる。
ギター=かまってくれない、という構図に批判的なのだ。
2歳3ヶ月の娘は、保育園でいろいろ歌を覚えてくる。
こういう歌をやれば、ギターを弾くことも許されるのではないかと期待して、本書を買った。
本書の特色は、とにかく曲数が多いのとバラエティに富んでいること。
「ゆりかごの歌」「バラが咲いた」などの愛唱系から、
「できるかな」「ぐるぐるどっかーん!」(ちょっと古いか)「なんとか戦隊の歌」等々。
おおきなた〜ま〜ご〜♪
は、残念ながら未収録。
(この歌は、おそろしくバリエーションがあるらしい…)
楽譜に記入されているコードはいたってシンプルなオープンコード系。
ごくたまにオーグメントなど出てくるが、ほとんどは、7Thか6thどまり。
ギターでもピアノでもいける。
ギター用のコードダイアグラムはない。
ただ、フルコードで弾いてしまうと、ちょっと不自然になる場合がある。
2音か3音程度の省略形がよい。
B♭がキーの曲が結構多い。
トランペットやテナーサックスにはぴったりかもしれないが、ギターの場合、運指を快適にするべく、移調もありか。
歌いながら弾くときは、小細工はないほうが、むしろ勢いがあってよいだろう。
ただ、オープンコードばっかりではつまんないので、
スローな曲では、ちょっとテンションを加えたり、ツーファイブなどで進行感を出すとドラマチックになると思う。
基本コードが明示されているから、アレンジは逆に自由。
広く人口に膾炙した曲の場合、歌詞やメロディは、人によって記憶が微妙に違っていたりするだろう。
本書のコード進行も、しっくりこないような場合もある。
ユーチューブなどで原曲を検証するのも一方だが、自分でやりやすいように適当にアレンジしてよいと思う。
ただ、親としては、その歌詞やメロディをこどもが覚えて外で歌う可能性を考慮しなければならない。
どうでもよい点だが、装丁の雰囲気が昭和テイスト。
津軽のふるさと~ある古い歌の伝説
塩田美奈子は歌の上手い人ですね。昭和の歌謡曲やミュージカルなど幅広いレパートリーを苦もなく歌いこなしています。国立音楽大学大学院オペラ科を修了し、1988年にイタリア声楽コンコルソ第一位、シエナ大賞を受賞しているプリマドンナです。
その持てる実力を如何なく発揮したアルバムなのは間違いありません。発声も素直で、伸びやかで美しい中音域を巧みに使用しながら、収録曲を違和感なく綴っています。
タイトルの「津軽のふるさと」は情感たっぷりで聴きほれる歌唱でした。胸に迫る表現を聞くに連れ、ひばりファンも満足する出来映えでしょう。歌詞が明瞭で、雰囲気も情感も伝わってきます。
アンドリュー・ロイド=ウェッバーの「メモリー」や、「エビータ」より「アルゼンチンよ泣かないで」が歌われています。1989年に二期会公演「椿姫」の主役ヴィオレッタでオペラデビューする前年に、劇団四季「オペラ座の怪人」のカルロッタ役でデビューしている経歴からみても、ミュージカルの巧さは折り紙つきです。
「一晩中踊り明かそう」でも同様で、透き通るような高音の伸びやかさと聴きやすい音色がいわゆる一般のクラシック歌手とは一線を画し、図抜けていました。
榊原大のアレンジによる「黒百合の歌」は、哀愁が漂い情感もあり、昭和という時代の雰囲気すら上手く表現出来ていました。三枝成彰作曲の「花の乱」は聴き惚れましたし、大中寅二の「椰子の実」は現代的な味わいを感じるような抒情歌曲でした。コンサートでの拍手喝采が目に浮かぶような作品集だと思いました。
リーフレットには、歌詞以外に三枝成彰氏の推薦の言葉と長田暁二氏の解説があり、彼女の大小様々なポートレイトが所収されています。
ベスト・オブ・ベスト/日本の名歌
歌っているのは、一流のオペラや歌曲の歌い手で、いずれも端正な歌いぶりである。クラシックの好きな人向きかもしれない。
私がこの歌集を買う気になったのは、斉藤佳三の「ふるさとの」が、入っていたからである。母が、生前、この歌を台所でよく口ずさんでいたのを懐かしく思っていたが、改めて聴いてみて、胸が熱くなった。信時潔の「沙羅」が入っているのもうれしい。「海ゆかば」 (私は名曲だと思うが) のせいか、彼の歌をめったに聞く機会がないのを残念に思っている。
「カチューシャの唄」や「ゴンドラの唄」は、出だししか知らなかったが、今回、全曲を聴くことができた。何度も聴きたいとは思わないが、当時の人のものの感じ方に触れることができたような気がして、興味深かった。
さとうきび畑
新垣さんのCDは、この後にも、「出会い〜わが心の歌」、「願い〜愛と平和の歌」、「命どぅ宝 沖縄の心 平和への祈り」などが出ていますが、声がいいのは、この「さとうきび畑」ですね。このCD以降、売れてあちこちから声がかかって、過重なスケジュールとなったせいでしょうか。もともとの澄んだ声が失われた感じを受けます。
クラシックのテナー歌手の歌を期待されて聞くと、音楽的に物足りなく感じてしまうと思います。しかし、それは、恵まれた環境のもとに、歌うことに専念できなかったから仕方が無いのかなと思います。
しかし、その代わりに豊かに実につけたものがあります。その出生、生い立ち、眼のハンディー、など苦労、苦悩を抱えつつも、前向きに生き続け、育ての親である祖母の死などによる自殺をも考えた深い絶望の中でキリスト教と出会い、救われて、その後に、西南学院神学部で学び、そして、武蔵野音大で声楽を学び、そして思いもかけぬ巡り合わせの中でイタリアへ留学して声楽を学び、その後は教会や、学校や、刑務所、少年院、老人ホームなどを回って歌う年月を重ねて来られたわけですが、苦労して歩んでこられた人生の深み、重みが明るいラテン系の歌声に乗せて私たちの心に響いてくるのです。
選曲に関しては、まとまりの無さを感じられると思いますが、上記した数十年の音楽活動の中で歌い込んで来た歌を、一つのCDにまとめた結果と言えます。だから、最初はちょっと、間延び気味かなと思えても、段々と繰り返し聞いていく内に新垣節とも言える音楽にはまるのでしょう。