中村とうようアンソロジー 2011年 10月号 [雑誌]
なんといっても日本のロックに関する雑誌というのは「ニュー・ミュージック・マガジン」によって幕を開けた。渋谷陽一がなんぼ金持ちになっても「そんなの関係ねえ」。ロック・ジャーナリズムはこの人が創刊した雑誌を中心に展開した。ただその頑固さには改めて舌を巻いた。とうようさんの選んだであろう100選が載っている。ロックは無い!!!どういうこと?マガジンで絶賛していたのはどこに行った???
でも、さもありなんという気は前からしていた。マガジンで絶賛したものは別にポーズでもなかったと思う。そのときはそう思っていたのだと思う。出来れば心の変遷をもっと書いていただければ・・・と思いますが、なんせ好戦的な文章が元気の元だった感じで。
今でも1969年春の創刊号を手にした感激は覚えている。俺たちの時代が来たとね。正直そう思った。
カリビアン・ミュージック・ルーツ
ずぼらな性格とかなりケチで辛口なもので(苦笑)、レビュは自粛させて頂いてるのですが、このアルバムは費用対効果含め心底お勧めです。
どんな方にあいそうかというと、ラテン系がお好きな方はもちろん、すべてのポピュラーミュージックをお聴きになる方。洋楽ファンはもちろん、「わしゃやっぱりチューと八代亜紀チャンかのう」派?など昭和歌謡のほうがなじみの方も含め、老若男女全世代に亘りお勧めです。(私もルーツといえばブルーズしか連想できなかったのですが目から鱗が落ちました。蛇足ながら普段ラテン聴く時も未だにシマ片手です、笑。)
評論家じゃないのでたんなる個人的感想ですが、リスナーの方がどんなジャンルを今のマイブームにされていても、こうした先達の良品でしっかりとした大衆音楽の根っこを押さえることで、音楽とのつきあいがより味わい深いものになるのではないでしょうか。
(田中勝則氏のライスレコード系はドケチな私でも、DLはおろか定価で買っても納得の良品揃い。けっして回し者ではないですし、価格競争大歓迎なドケチな私ですが、このご時世でライスさんもキビシいというウワサを聴き、微力ながらお勧めさせて頂く次第です。)持っていて本当に損がないと思えるCDですし、個人的にはなるべく若いうちに出会いたかったなと思うので、オールドファンだけでなく若い人に聴いて欲しい。できれば学校の音楽の授業では西欧クラシックだけでなくこうした大衆音楽、民族音楽のクラシックも聴かせてほしかったなー、笑。
ロック誕生 THE MOVEMENT 70’S~ディレクターズ・カット [DVD]
個人的に、フラワー・トラヴェリン・バンドの「Make Up」の映像に期待していたんですが、
収録されていたのはYouTubeにて公開の某映像にスタジオ音源を被せただけのものでした。
また、その他の多くの演奏シーンの映像も既出のものばかりで、まったく肩すかしです。
70年代当時の日本のロックの映像が1つのアーカイヴとして集約されたことは意義深いとは思うし、
そうした資料的なものとしてはそれなりに良い作品かもしれません。
が、1つの映画作品として観た場合はちっとも面白くもないでしょう。
なにしろ、内田裕也さんや近田春夫さんといった人達へのインタビューの合間に、
昔の映像が時系列もばらばらにダラダラ挟まっているだけの薄っぺらな構成でして、
映画のはじまりと終わりを内田裕也さんへのインタビューで纏めて、
どうにか全体を締めているだけの映画ですから。
インタビューをもうちょっと幅広く、細かくやって、
当時のレコード会社のディレクターだとか、ロックから別の方向へと流れていった人達とか、
そういう人達の証言も取り込んでくれていたら、奥行きのある見応えのある映画になったのでは。
例えばその後のYMOのメンバーがいたエイプリル・フールの人達だとか、
モップスから名プロデューサーへ転身を遂げた星勝さんとか、
ヒーリング・ミュージックみたいなものをやるようになった喜多郎さんとか、
話を訊くべき人は、いっぱいいたでしょう?
これでは「ロック誕生」というよりは、「内田裕也誕生」ですよ。
内田裕也さん、大好きだからこれでもいいんだけど(笑)。
キューバ音楽の真実
中村とうよう氏の企画、選曲、解説のライスレコード第4作目。
20世紀前半のキューバ大衆音楽の歴史を
簡単に概観できます。
収録されているのは25曲。SP復刻。
古いけれど、優雅。ノリもいい。
ひとつひとつの作品を追う手間を考えれば、
このような企画モノCDは、とても重要、ありがたい。
キューバ好きな人だったら、損はない。
廃盤になるまえに入手を。