映画を観る前に原作読んで知識(?)つけとこう!と思って読みましたが、映画の予告編で観たのとは、だいぶ違いましたね。原作の時代設定が1976年と知り、そんな昔の作品だったの?自分が生まれる前だよ〜と思ったけれど、さすが人気作だけあって面白いです。
謎の疫病で人類が絶滅、1人生き残った男の孤独と吸血鬼との戦いを描いています。絶望的な毎日で酒浸りになりながら、それでも生への執着を捨てられず、時に妻を想って泣き、吸血鬼の少女に娘の面影を見る。絶望の日々の中で出会った
犬。少しずつ(精神的に)変化していく主人公の生活。ラストで読者はアイ アム レジェンドという
タイトルの意味を知ります。
まず、前半のほとんどを
ウィル・スミス一人で物語を成立させるというその存在感と演技力に脱帽する。今、本作のようなアクション大作で、繊細な情感を表現しながらそれができるのは、確かにウィルしかいない。
また本作は、「この世界にった一人残されたなら…」という哲学的な問いかけを抱えたジェットコースタームービーでもある。オープニングのカーチェイスから、映画館のシートに押しつけられっぱなしである。見ている観客もまた主人公のように追い詰められ、逃げ場のないその恐怖や焦燥感を振り払うには、上映時間中目をつむっているしかない。
そして、
タイトルの「私は伝説である」を忘れなければ、クライマックスからラストまでのストーリーを途中で理解することが可能だ。見終わってきっと希望に満たされることだろう。
さらにこの映画の成功は、莫大な予算をかけた
美術にあると言っていい。人っ子一人いないNYの廃墟のシーンはあまりにリアルで、見事としか言いようがない。本作の世界観を、俳優達の台詞ではなくまさしく映像に語らせている。それだけに登場するゾンビ達のCGが見劣りし、そのギャップだけが本当に惜しいのである。