初期の大沢家政婦会は石崎秋子役の市原悦子さんと大沢キヌヨ役の野村昭子さん以外はメンバーが違います。内容も後期になるほどマイルドになってます。このドラマの魅力はなんと言っても市原さんの演技のユニークさと他のキャストとの絡み、それに脚本の良さだと思う。私は
猫好きなので秋子さんの部屋に居つく通い
猫のハルミちゃんが毎回かわるのも楽しいです♪
40歳以上の日本映画ファンで、ATG映画に特別な思い入れがある方は少なくないと思う。
前衛的で難解な1000万映画が並んだ創世期から、時代の流れと共に次第に商業主義的路線へと変遷を遂げていった感はあるものの、時が経っても、ATG映画が、映画人たちにとって、既成の大手映画会社では企画が通らなかったであろう題材を自らの作家性と野心を以てフィルムに叩きつけていた事には変わりがなかった。
そんな中で、ミステリー映画としての純粋エンタメ路線である今作は、異色中の異色作だったのではないだろうか?
つまり、まるで、ATGらしくないのだ(笑)。
ATG製作のミステリー映画と言えば、他にも高林陽一監督による「本陣殺人事件」が思い浮かぶが、こちらは低予算を逆手に取り、横溝正史のおどろおどろしい情念と血のドラマを凝ったカメラワークとあの複雑な密室トリックの忠実な映像化で、やはり作家性ある映画との印象が強いが、こちらはホントに出来の良い2時間サスペンス・ドラマみたいな感じだ。
文豪にして無頼派作家の坂口安吾が書いたミステリーとして有名な原作小説は、多種多様な登場人物が一堂集まった中で連続殺人が起こると言う今日では定番のシチュエーションを我が国で初めて構築させた推理小説としても知られている古典的名作。
若い頃から熱烈な安吾の愛読者だった曽根中生監督は、折しも角川映画で横溝ブームが巻き起こっていた中、自分も本格ミステリーを撮りたいと切望し、この企画を持ち込んだらしい。
その凝りようは中々のもので、劇中、29人もの登場人物たちが食卓を囲み晩餐するシーンをワン・ショットで捉えた構図は、定石ながら実に壮観だし、ゾクゾクする。
田村高広、夏純子、金田龍之介、宮下順子、内田裕也、楠侑子、殿山泰司、伊佐山ひろ子、根岸とし江、桜井浩子等々、映画演劇界の個性派俳優が大挙出演。
探偵役に小坂一也、彼が演じる巨勢博士は、恐らくミステリー映画に登場するヒーローとしては最も弱々しく優しいキャラクターだ(笑)。
曽根以外に脚本家としてクレジットされているのが鈴木清順や若松孝二の助監督時代の同志である大和屋竺、荒井晴彦、田中陽造の3人。何故これだけの面々が参画したのか、誰がどの役割を担当したのかが気になるが、凄い顔ぶれだ。
大富豪、作家、詩人、仏文学者、歌人、画家、女優ら浮世離れした者たちが織りなす愛憎のドラマと8人の犠牲者。
次は誰が殺されるのか?そして果たして犯人は誰なのか?
残念ながらあまり話題にならなかったのは、同年に、東宝の金田一耕助シリーズの最高傑作である「悪魔の手毬唄」が封切られていたからと推測する今作、ミステリー映画ファンなら押さえておきたい作品だ。