昨日とどきました。とどいたその日にすべて視聴するということはめったにやらないのですが、こればかりは待ちきれずにその日の内に鑑賞してしまいました。
本作品の内容に関してはすでに多くの方が語りつくしているので敢えて触れません。ここでは商業製品として「東京物語」ブルーレイ版がどんな様子かをレヴューします。
気になるリマスターですが大成功だと思います。英国PAL版の最新ヴァージョンのDVDや、現状で最も画質・音質が良好であると思われる米国クライテリオン版DVDと比較してもその差は歴然。DVDではフィルムの傷、白黒のコントラストがきつくグレーゾーンが吹き飛び、自然な諧調が失われていますが、それが見事に復活。「復活」と言いましたが、もちろん私は年代的に、本作品を実際に映画館で封切当時に観ることはできませんでした。かつて英国在住中に
ロンドンの国立劇場の小津週間のような催しのときに一度だけ大
スクリーンで観たことはありますが、昭和28年の封切当初の映画館での画質は知る由もありません。しかしながら、「オリジナルはおそらくこうではなかったか」という想像どおりだったということは言えます。4Kスキャニングだとか、技術的なことは不案内ですが、画質向上に関しては、黒澤の「七人の侍」のクライテリオン版ブルーレイを初めて観たときの感動に等しいものがあります。すでにDVDをお持ちの方々にも、本製品は十分購入の価値があると申し上げます。
原智恵子の演奏はエレガントで且つ芯の強さを秘めている。また、夫君のカサドとのデュオでは、カサドの円熟味を帯びたセンスの良い演奏と、二つの個性が互いに支えあい引き立てあいながら、絶妙な境地を作り出している。新発見の音源とのことだが、本当に良くぞ見つけてくれたと感謝したい。
とても綺麗な状態で届き、新品に限りなく近いものと思いました。読み応えは抜群。ただ、掘り下げがもう一つ、もう一ひねりが欲しいと思いながら、読み進んでいます。どこかの評に「誤植」が多く読むに耐えない、みたいなことがありましたが、それほどではありません。誤植は確かにありますけどね。
監督・木下惠介、脚本・新藤兼人、出演者は原節子、佐野周二(関口宏のお父さん)、佐田啓二(
中井貴一のお父さん)と豪華な顔ぶれによる恋愛映画。敗戦からたった4年の1949年公開作品なのだが、没落華族のお嬢様と新興成金(自動車屋)の主人公の見合い、戦後の若者達の真面目で爽やかな恋愛模様に、現代に視聴しても新しい時代の幕開けを疑似体験できるようだ。
高度成長期前夜の東京の空と道の広さ、珍しく原節子が身体をはったコメディ・シーン(中盤、家の門前のシーン)など、往年の邦画のファンには見どころが多い作品だろう。編集テンポにちょっと間延びする箇所が多く感じられたほか、恋愛の描き方やギャグも素朴に感じられた僕は星を渋めに付けたが、これらは育った時代の違いが大きいのだろう。
全体的にはとても品の良い恋愛コメディーだと思う。この品の良さが原節子の個性とバッチリとマッチしているのもお見事。