敬愛する杉浦日向子先生に心地よいビンタをくらったかのような一冊!今、どこに行きたい?って聞かれたら間違いなく江戸!!封建社会とか昔っていろいろ堅苦しいし、生きにくい世の中だったかな?なんて思ってたけど、いやはや違う!(武士やら将軍様は別として)まあ、今晩食べるお米さえありゃ何とか生きていけるもんね的な一般民のゆるーい感じがなんともイイ。日本人がお堅いなんて実はごく最近の話かも・・・。
不思議や
妖怪変化は、現代の日本ではひっそり息をひそめている。
まれに出てくる不思議の話やお化けの話は、悪意に満ちて奇妙に恐ろしげであったりする。
杉浦日向子の「百物語」の
妖怪変化は、不思議なくらいにすぐそこにあり、不思議なくらいに「怖くない」のである。
電灯のない江戸の薄暗がりの中で、不思議はきっと隣人だったのだ。
それぞれは他愛もない物語りながら、一冊の本にまとめられたとき「百物語」は見事にひとつの世界観を示している。
それぞれの物語で作者が実験的に技法を変えている様子もみる価値がある。
おすすめの一冊。