恥ずかしい話ですが、それまで小説という小説は避けてきた私が一気読みできるほど面白かった一冊です。
頭の中に
スクリーンが浮かび上がってきて、まるで映画を見ているような感じのストーリー展開にびっくりです。
登場人物の感じも読んだだけで伝わってくるんです。
実は初めて本を読んで泣いてしまいました。
時間を作ってまた読んでもいいかな?とストーリーが分かってしまってからも思える作品です。
直木賞・日本推理作家協会賞受賞作であり、作者の魅力の詰まった代表作。
PRマンの漆田は、日野楽器が
スペインから招いた著名なギター製作家ラモスから、サントスという日本人のギタリストを捜してほしいと頼まれる。20年前ギターを求め
スペインを訪れたサントスの腕は認めたものの、製作が追いつかずギターを譲れなかったことが心残りになっているというのだ。
卓越したギターの腕を持ちながら帰国後忽然と姿を消してしまったサントス。サントスを探す漆田は、彼の息子と思われるパコというギタリストをてがかりにサントスの行方を追うが、やがてラモスがサントスを探す理由の一つに行き当たり、巨大な事件の波に飲み込まれていく。
上巻では、「カディスの赤い星」の正体とそれに込められた目的が明ら!かになる。
サントス探しの他に、「カディスの赤い星」の正体、ライバル会社太陽楽器のPRマン理沙代との恋、「全日本消費者同盟」槙村との対決、テロと、読者を飽きさせない要素がふんだんに詰まった作品である。
「
スペイン」「広告業界」と、この作品後の作者の方向性がみられる作品であり、まさに
直木賞に値する作品である。
本作品は、1986週刊文春ミステリー・ベスト10国内部門4位にランキングされた。同年は2位に
もう一つの代表作「百舌の叫ぶ夜」がランキングされており、作者の大ブレークした一年となった。