立憲主義とは何かということを分かりやすく解説してくれる。
<国家の三要素のうち統治権=権力と国民は対立物である。国家=権力は放っておけばろくなことをしない。だから、憲法で縛りをかけて「余計なことをさせない」こと、憲法で公=権力の領域と私=個人の自由の領域にきっちり線引きすること、そうあるために、個人が「自立」できること、自分たちの力で権力をコントロールできることが必要だ。>
要するに、国家=権力に余計なことをさせないようにする仕組みを担保するというのが、立憲主義の考え方である。幸いながら、ぼくは公権力の横暴に接した機会があんまりないが、権力者は何も歯止めがなければ暴走するというのは歴史的にみれば真実であるということを疑うことはない。というわけで、立憲主義に立脚して、現在の自民党憲法草案とか読売試案に反対する著者の主張はわりかし理解できる。
特に、自民党案の<日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支え守る責務を共有し>という部分。
こういう文章は立憲主義の考え方となじまない。しかし、何度読んでも気持ち悪い。日本は好きだけどね、何を愛するかなんて自分で決めるっつーの。
なぜか
フランス料理の紹介から入るので最初はいけすかない感じだが、読んでいるといい人なのがよく分かる。いい人すぎてあまり文章はかっこよくないのだが、それもよし。うかつにもちょっと涙腺が緩んでしまう箇所も。
在外ジャーナリストの晃と、高校の
英語教師純也との恋物語。
そして、この話は危険な仕事をしている人との遠距離恋愛の不安と、ゲイカップルが選ぶ人生の選択方法の1つが書かれています。
話は受の純也目線ですので、海外で活躍する晃と自分の関係の曖昧さ、自分だけが晃を好きだという思いや危険と隣り合わせである晃の心配する辺りは、もの凄くせつなくてよかったです。
純也がグルグルと悩み、別れの決断をするところまでは、とても同感できました。
(ここまでは、☆5つでもいいかも)
しかし、その後の晃達の人生の選択が、私には同感できず。。。
もしかしたら、晃の同僚の女性さえ絡まなければ、もう少し共感できたかもしれないですね。
その女性が絡んだ為に、なんだか気分がモヤモヤしてしまいました。
なので、彼らの選択が理解できるかどうかで好き嫌いが出るかなぁ?と思いました。
確かに。
こういう選択方法は、海外のゲイ大国では普通なのかもしれません。
純也も晃の選択に同意しています。そして、彼らの両親も共に喜んでいます。
でも、私はこういう流れが初めてなのでビックリし、そしてとても複雑な心境になり。。。
ついでに、盛り上がっていたテンションも一気に下がってしましました。
(これで☆が一気に減りました)
また、S・Sではその後の2人の生活が書かれていましたが、やはり今一つついていけなかったです。
この話は読み手によって、「こういう人生の選択があってもいい」と思えるなら評価は上がるでしょうし、私の様に同感できなければ下がる気がします。
主人公の井出春海は高所恐怖症ゆえに離陸しかけた飛行機を止め、商談をダメにし、会社をクビになる。ちょうど下宿屋≪ふじみ館≫を営んでいたおばあちゃんが入院したこともあり、春海は自ら下宿屋を営むこととなる。すると、下宿屋の隣にスチュワーデスの寮が建つ。そこにはあの時、飛行機を止めるように進言してくれた小百合が‥。終始ほのぼのとした展開のフジテレビのドラマの小説化。
この本の中で繰り返されていたのは、自分の判断が正しいのかどうかを悩む姿。そして、それを支える周囲の人間。人間関係が希薄になっている今にこそ、皆さんに読んで欲しい一冊だった。