ニュージーランド南島ワナカのアルパイン・ファイター・コレクション所蔵の一型(現在はないそうです)と、米国オシュコシュのEAA自作航空機協会博物館所蔵の二型の、鮮明なカラー写真中心の構成です。特に一型は飛行可能な状態にまで復元された(安全のため実際は滑走だけ)こだわりの逸品で、ハ25エンジンやコクピット、内部構造まで可能な限りオリジナルを尊重して再現されており、それらの細部写真は実機の研究やプラモ作りに役立ちます。二型は推力式集合排気管装備の後期型で、丸みを帯びたカウリング形状などが良く分かりますが、一型同様キャノピーは非オリジナルです。あとは
隼ファンには馴染みの深い、大戦中の写真を少しだけ掲載。とにかく一型のプラモを作りたい方には、絶対お薦めの一冊です。
写真解説は野原茂氏(一型の写真撮影も)。大きくて見やすいイラストで、一型〜三型の機首形状の変化、風防や計器盤の違い、増槽の懸吊要領などを図解。巻末の各型変遷図は1/48と1/72スケールで、塗装解説は各色のFSナンバー(氏の推定)も併記されています。
零戦生みの親・堀越氏の映画に触れ、何故か「
隼」の事が気になってしまい購入した。
文中はもとより、要目一覧表も詳細に数字を洗い直して、同機への不当な評価を払拭せんと務めているのが察せられる。
個人的には、著者の「
隼」への思い入れが行間から伝わってくるような気がして仕方ないが、見応え・読み応えは十分、星五つである。