大阪・船場の豪商の当主が亡き後、三姉妹(京マチ子、鳳八千代、高田美和)を中心にして巻き起こる遺産相続の争いを描いた作品。
当主だった亡き父は、女系家族の婿養子。
妻に頭が上がらず、我が強く欲が深い娘三人を持った父親が唯一心を安らげた場所は、外に囲っていた女(若尾文子)。
財産の管理人だった大番頭(中村鴈治郎)と、三姉妹の叔母(浪花 千栄子)の存在感がさすがで、二人の演技に引き込まれた。
大番頭も叔母も、欲の塊のような人物。
大番頭はカネだけではなく、色事にも精をだし、大番頭のいい女役が北林谷榮。
おばあちゃん役の名女優・北林谷栄が、本作では色っぽい仕草を見せていて、すごく新鮮な感じだった。
総領娘(長女・京マチ子)は、一度嫁に行ったが我儘で戻ってきた女。
次女(鳳八千代)は、姉が嫁いだ後、婿養子を迎えて商売を引き継ぎ、三女(高田美和)は、嫁入り前の娘。
父親が書いた遺言書の中身は、三人にほぼ均等に分けられていたが、姉妹達の欲望はすさまじく、お互いに値踏み、損得勘定をして、誰よりも自分が得をしようとする浅ましさが、ものすごい。
一番強欲な長女(京マチ子)が、少しでも自分に有利にしようと抱き込むのが、踊りの師匠(田宮二郎)。
京マチ子の本作の長女役は、後年のTV版「
犬神家の一族」で演じた松子役を彷彿させるもの。
中盤から、なんとなくラストの展開が予想がついてしまったのが残念でした。
「ぼんち」を観た後だと、物足りない感じがします。