レンジでゆでたまごが作れますが、ちょっと加減が難しく、レンジの時間が長いと割れてしまうし、短いとまだ足りなくて、半熟気味だったりします。慣れれば便利だと思います。
言わずと知れた1920年代を描いた米文学の古典。
アメリカの教育現場ではHarper Leeの"To Kill a Mockingbird" やSalingerの "The Catcher in the Rye"を読んだ後くらいの“必読書”の位置にあり、大方のアメリカ人は読んでいる。
従って書評の対象として適切か?という疑問はあるが、このたび30余年ぶりに読み返して、前回もうひとつピンとこなかったのと比較し、今回は“これはおもしろい。一字一句を追うのもスリリング”という感じで読めたので、日本人が原書で読むという観点から印象を述べたい。
1.
英語のレベル
英米の小説を色々読む比較感では、“容易な入門レベル”とは言えない。
特に最初の2ページは“??? うん? 一体何を言っているのか?”という感じとなるが、その後はぐっとわかりやすくなるので最初は我慢が大切。
2.読むに必要なbackground information
例えば“アメリカでは1920年に禁酒法が成立し、女性の参政権が認められた”という時代背景、New YorkのLong Island, Penn Central Station, Plaza Hotel, Yale Club、ChicagoのUnion Station, Lake Forestといったネームに対する土地勘等々あれば越したことはないが、アメリカ人でも限度はあろう。
今はインターネットの時代。“ここはどうしても分かりたい”と思ったら、調べられる。
3.文章
極めて抒情的、詩的で気の利いたpassageが随処に出てきて思わず酔いしれる。
"And so with the sushine and the great bursts of leaves growing on the trees, just as things grow in fast movies, I had that familiar conviction that life was beginning over again with the summer"
4.構成
9章構成だが、其々で明確な場面設定。
謎の多い主人公Gatsbyの人物像、生い立ち等が少しずつ浮かび上がってくるうまい仕立て。
所々に劇的な場面(GatsbyがTomに“Daisyはお前のことを愛したことはない”と言い、言い争いになる、そしてその後の自動車事故。。。)が展開。
5.テーマ
・時代(1920年代、1929年の大恐慌の前。Vanityそのもの。バブル)
・アメリカの社会階層、地域性(NY、中西部、南部)
・男女関係(TomとDaisy、GatsbyとDaisy、語り手NickとJordan Baker。。)
・何故Gatsbyがgreatなのか?。。。
といくらでもネタはある。
素性もよく知れず、目的のためには粉骨砕身し、愛する者への想い一途、そして無理して恰好をつけるGatsbyというのはむしろ“アメリカ”そのものではないか?
第一次世界大戦を経て、英国に代わり世界のトップに出てきた“成り上がり”アメリカを体現しているという感じがする。
6.最後に
2012年12月頃にディカプリオ主演で何度目かの映画化がされる予定との由。
アメリカ文学の豊穣の海への一歩として一読を勧めたい。