離婚予定だった夫が急死、その裏には…。スタンリー・ドーネン監督によるミステリー・コメディの傑作。オードリー・ヘプバーンとケイリー・グラントの絶妙な顔合わせに、ヘンリー・マンシーニの洒落たスコアが見事に融合している。クールなマンボ「メゲーブ」、ボサノバ
タッチの「ライトリー・ラテン」ほか、心地よい作品がいっぱい。ジョニー・マーサーが作詞した主題歌は、
アカデミー賞にノミネートされたもののV3はまずいという理由で惜しくも受賞にならなかった。オープニングではそれが歯切れのよい
ジャズビートでアレンジされた、かっこいいインストゥルメンタルになっている。
原作小説の映画化も含めて、過去にも今でも数多く作られたミステリ映画。
その中でも非常に上質の一作です。
映画を構成する「謎」は3つ。
事件の真犯人とその正体は?
莫大な遺産の隠し場所は?
敵か味方かわからないヒーローの正体は?
この3点の謎が、きっちり描かれている。
だが何より優れているのは、この3つの謎の説明が
いずれも映像でしっかり描かれていることだ。
「名
探偵、皆を集めて〈さて〉と言い」はよく言われることだが、
このあとに長い長い「説明」がつくのが常道。
だが、「シャレード」にはそれがまったくない。
全部がセリフではなく、画面に映る映像で説明されているのだ。
そしてそれはミステリ映画では非常に稀有な事なんですよ。
もちろん、ヘプバーンの魅力、おしゃれな音楽と
美術などなども長所ではあるけれどね。
スイスのスキー場から
パリへ戻ってきたレジーを待っていたのは、家財一切が売り払われた空っぽの自宅と離婚する予定だった夫の死だった。夫の葬式には見知らぬ怪しい三人の男が現れ、アメリカ大使館の情報局長からは、戦時中に夫が軍資金25万ドルを横領していた事を聞かされる。全く知らなかった夫の素性に困惑したレジーはスキー場で知り合ったピーターと名乗る男性に助けを求める。金の在り処はさっぱりわからないまま、レジーは25万ドルの行方を追う男たちと共に、事件へ巻き込まれる羽目に。・・・
果たしてレジーの夫が盗んだ25万ドルはどこにあるのか。一体、誰がレジーを狙っているのか。謎に満ちたストーリーの展開には、終始ドキドキさせられっぱなしでした。ジャンルはサスペンスですが、コメデ!ィ
タッチでストーリーが進んでいくので、楽しく観ることができました。緊張感の後にコメディでストンと落とすところなど、テンポの良さは秀逸です。どんでん返しの連続もあって、期待は裏切らない面白さです!ジバンシーの
ドレスに身を包んで、ヴィトンのトランクを持って颯爽と歩く、オードリーの小悪魔的な可愛らしさ。どことなくおとぼけていても、いざとなればカッコいいケーリー・グラントの渋い紳士ぶり。2人の洒落た会話にも注目です。
ファラ・フォーセットを大画面の
スクリーンで観ることができた感激!が忘れられない作品です。特に好きなのはクリスマスシーズンの公園でジェフ・ブリッジス(好漢!!なかなか良いです)と
ランチを食べるシーン。アップになったファラの顔が寒さで
紅潮している!!初主演でいきなり子連れの人妻役というのも意表を突くがチャリエンとは、また違った魅力に溢れてます。ホント綺麗だなあ。当時は、ラブシーンでセーターをたくし上げられた背中が映っただけでも話題になったものです。NYのメーシー百貨店が舞台というのもちょっとファンタスティックな感じがして面白い。脚本は「12人の怒れる男」のレジナルド・ローズですが、全くかの作品は感じさせないラブロマンス+軽いミステリーといった内容です。主題歌はニール・セダカ。こういうごく普通の女性を演じたファラを観ることができる本作は、ある意味貴重であると思います。