毒舌日本史 (文春文庫)
今東光和尚の文章はやくざな語りのせいで俗な話のように聞こえてしまうが、
きっちり古典を収めた上での切り口で読む者を飽きさせない。この独特の
スタイルがあまりに印象に残るため、和尚の普通の小説を読むと逆に
物足りない感じがある。
この本は毒舌で歴史を語るというより、天台の僧侶が見る歴史観であり、
廃仏毀釈の及ぼした害や、神道と仏教のつながり、昔の日本人のモラルが
いかに宗教をベースにしていたかが良く見えてくる。この本のエピソード
のひとつひとつが十分小説になりそうなトピックなのに、おしげもなく
語られており、もったいないぐらいの感があるほどだ。
学生運動さかんなころに書かれた本なので、運動批判がチラホラするのが
うざい感じもするが、それ以外は今でも驚きの内容がふんだんに盛り込ま
れている。
今の時代に和尚が居てくれたら、どんな言葉を投げてくれただろう。
そんな思いにとらわれながら一気に最後まで読んでしまう本だ。
合本 極道辻説法
自分が大僧正を知ったのは、既に他界した後。
兄の本棚から「極道辻説法」3冊をガメて読みふけったのは高校ん時。
社会人になって改めて読んでみると、当時は気が付かなかった事柄が色々と再認識され、さらに10年以上間をおいて読んでもまたまた新たに気が付く事、それこそよく言われる「スルメ」のような書籍でした。
本の中で、「オレ、今度、この説法を録音してレコード出すんだ」と書いてあったので、色んなレコード屋を探したのだが、既に廃盤、再リリースも一切無し、悔しい日々をすごしておりました。
今回、初CD化ということで嬉々として購入。
まあ、半分ネタのつもりで聴いたのだが、後半にいくにしたがって、どんどん引き込まれていく自分に気が付いた。
声質はまあ、老人なので多少しゃがれたものなんだけど、そこに込められた「気持ち」というか、和尚の優しい説得力がひしひしと心に染み込んできて、思わず涙腺が緩んできそうになった。
もう、こういう人物は出てこないだろうなあ・・・。
バラッド3 ~the album of LOVE~
リリースから随分経つアルバムですが、特別なファンでもなく
(スタ☆レビや山下達郎さんなどをよく聴いてきました)、
暫く前の或るNHKドラマで「希望の轍」を聴いたのをきっ
かけに、なにかベスト盤のようなものを聴いてみたくなり、
幾つかのベスト盤の中で迷いつつ、こちらを購入しました。
最初はやはり、真夏の果実や涙のキッス、LOVE AFFAIR~秘密の
デート など、こんな私でも昔からよく知っている曲を好んで
選曲していましたが、そのうちに全曲を通して、桑田さんの
押韻を生かした個性的な詩や歌声、音楽性の魅力を楽しめる
ようになり、ここ最近はすっかりディスク2にハマっています。
この2枚のディスクの選曲には、ファンの方の賛否両論があるよう
ですね。確かに‘寛容な免疫(!?)’がないと、詩も音楽も、
ドキッとする楽曲はありますが……愛する情熱や切なさだけでなく、
生きていることの喜びや迷い、叫び、そしてこの先の人生への
エールといった、幾つもの素晴らしい感動や発見を、私はこの
アルバムからしっかり受け取ることができました。
個人的に主人と不和で……やりきれなく、つい落ち込んでしまう
ここ数日は、愛無き愛児 (まなご) ~BeforeThe Storm や、アル
バム最後の楽曲でもある、素敵な夢を叶えましょう などに、
特に心の波長が同調しています。
また、聴き慣れなかった唐人物語 (ラシャメンのうた) も、
松田弘さんヴォーカル(←素人ながら調べました!)の 夏の日の
ドラマ も、だんだんその良さが心に沁みてきました。
お金にうるさい主人に内緒で、新しいCDを購入するのはたまの
事で勇気が要りますが、今、このアルバムに出会えて本当に
良かったです!今の私の心の支えです!!