1993年、ネブラスカ州
リンカーン。20歳のブランドンは男装して小さな町フォールズタウンへ向かう。そんなブランドンの行動を快く思わない従兄のロニーは「フォールズ・シティの連中はオカマを殺す」と警告する。やがて、町で地元の青年、ジョンやトムと知り合ったブランドンは、彼らの仲間であるラナという少女と恋に落ちる。・・・
ヒラリー・スワンクが、性同一障害者であるがために青年ブランドンとして生きる女性、ティーナを演じています。作品を通してずっと青年の格好を演じ続けるヒラリー・スワンクですが、その仕草や物腰はナイーブな青年そのものでした。当時はまだ「性同一障害」はきちんと理解できていなかっただけに、「変態」「化け物」「オカマ」としか扱われなかったブランドンの悲しみと苦しみ。この物語の中で、ブランドンを「人間」として受け入れてくれたのはラナだけだ、と思うと本当にやりきれなくなりました。「男性として生きたい」というブランドンの願いが世間に受け入れられず、悲劇を生んでいく。そんな切ない話が実際に、それもつい最近あった事件だと知って、本当に胸が苦しくなりました。観た後の感想は賛否両論あると思いますが、いろいろ考えさせられる深刻な内容です。
翻訳調の抑制の効いた文体で、淡々と語られる、80年代トーキョーのナイトライフ。岡崎京子の『東京ガールズブラボー』(
宝島社)と、本棚に並べて置きたい。