現在はイーヨ・イディオットで活動しているイーヨさんを中心とした4人組の99年のシングル。「朝焼けのアンビエント・パンク・ロッカー」という帯の言葉もぴったりなイーヨさんの浮遊感漂う声は、ウィスパー・ヴォイスによくある不安定さは全く感じさせず、ナチュラルに且つどこか懐かしさを感じさせる和の雰囲気を醸し出しながら聴き手の心に訴えかけてきます。エレクトロニクスを使用せずにしかも最小限の編成であるにも関わらず、こんなにも立体感のあるサウンドを作り出せるものなのかと最初に聴いたときはかなり衝撃を受けました。そして、バンド・サウンドの核となり様々なフレーズを繰り出す外山明さんの手数の多いドラミングが凄過ぎです。
「殺人という言葉は海と水兵を連想させる。・・・」
いきなり入るナレーションと音楽と
タイトルの出かたからして既に最高! ―やるせないギターが響く娼館フェリア、メインキャストがそれぞれ渋くてイイ感じ。―そして船の上甲板で黙々と働く水兵たちの中から、輝かしい裸体のケレルが登場・・・。
ペーア・ラーベンの神話的な男性合唱がくりかえし高鳴って、突然ホワイトアウトする輝かしい画面に、威厳にみちた文章が刻まれる…。―この感じ、このかっこよさはこの映画でしか味わえない!!!
ひとつの静かなクライマックス、同じ殺人者である友達ジルを裏切る密告のシーンで、このかっこよさは頂点に達する。―「・・・情報がある。・・・出所は言うな。・・・あの
ポーランド人、・・・例のジルだが、・・・・・・・4時20分のボルドー行きに乗る。・・・・・チャオ」
この辺から終盤にかけて、リリー・マルレーンのときと同様、ペーア・ラーベンの音楽が甘く、メランコリック、センチメンタル、リリカルで絶妙にロマンティック!・・・。
とにかくゲイという問題に関わらず、映像-音楽-役者-台本すべての点できわめて幻惑的な、完全に別世界へ陶酔できる、マルホランド・ドライブ級の、極上の映画です!
―あと、クリスチーネ・Fのナーチャ・ブルンクホルストがヌードフォトで出演してるのも、DVDだとはっきり見れます。お見逃しなく。
―と、ちなみに昔レンタルでダビングしたビデオは
フランス語版でした。けど今回のDVDは
英語版のみ…。個人的には仏語版の方がカッコイイ気がするんで、そこはちょっと残念・・・。