本書の主な構成は次の3点で構成されています。
1.プラモデル写真集
2.作中オフィシャルデータ
3.初期企画書・デザイン画
なお、本書は放送途中に出版されたため、グンジェム編途中の第33話「ギガノスの異変」より後の情報が全く載っておりません。その点ご注意ください。
1.プラモデル写真集
模型雑誌「B-CLUB」の別冊ムックということで、本書104Pのうちの半分近くの40Pが模型写真関連に振り分けられています。
作中に登場するロボット…メタルアーマー(MA)のうち、グンジェム編の直前、ドラグーンが登場するまで+Dカスタムのプラモデル完成作例写真を、各機見開きページ(登場の遅い一部機体除く)で紹介しています。
これらのプラモデルを(その方面に明るくないので本書表記のままご紹介しますが)TOORU KOBAYASHI氏をメインにYOSHIHARU NAGASAKI氏、HIROFUMI KISHIYAMA氏、HIROHUMI MINEHAMA氏、MASAO INOUE氏、TETU HUJIWARA氏、B-CLUB編集部が作成してます。昭和62年の作例なのでポリキャップ隠しがされていなかったり2段関節がまだ考案されて無かったりと、今見るとやや物足りなさを感じるかもしれませんが、出版当時は結構目を見張ったのを覚えています。
またロボット関連のデザインで活躍されている小林誠氏、横山宏氏、近藤和久氏、宮下将彦氏のデザイン・作成した(既存キッドを流用した)オリジナルMA作例や『バリグナー』改造パーツの紹介&大張正己氏インタビュー(4段組みの1段分とごくごく短い)も掲載されており、模型に深い興味を持つ方にとっては「おお!」と思うかもしれません。
2.作中オフィシャルデータ
サンライズから提供された設定画(メカデザイン・キャラデザイン、機体構造や操縦システムについての資料)を千葉暁が解説文を書く形で紹介してます。
同時期に出版された角川書店のニュータイプ別冊ムックが読み物としての内容に傾いているのに対し、こちらは(模型製作に役立つような)資料的価値に重きを置いた編集がされており、各図版のサイズは小さくなってしまったものの、乗っている点数はこちらの方がやや多いです。
OPで行われているシフトチェンジ(↑←↑)がただ漠然としたものでない事も本集を見ればなんとなくわかります。
3.初期企画書・デザイン画
「
機甲戦記ドラグナー」が放送された形になるまでの企画デザイン文芸資料として最初期の原型に当たる「キャバリアー戦記グランダスト1」、ほぼ完成形に近い形の「亜空戦記グランダルス」、二つの関係資料が掲載されています。
ガンダムから始まった"リアルロボット路線"の火が一度消えようとしかけていたその時、どのような思いの元「
機甲戦記ドラグナー」という作品が生み出されたのか、「ガンダム路線の復興」と「ガンダムという影からの脱却」に挑んだ様子を知ることが出来る非常に貴重な資料です。
一つの作品の「デザイン(企画・設定・図版・立体化)」がこの一冊に詰め込まれている―――。
そんな感想を私はこの書に感じました。
発売当時の価格は880円(税抜)。AMAZONでは6倍以上の中古価格が付けられています。
文章量やボリュームがほかの出版社から出ているいわゆる「設定資料集」に比べると物足りないないと感じたり、内容の4割がプラモデル写真集なのでアニメ好きの人が作品の資料を欲して本書を手に取った場合ややだまされた気がするかもしれません。
ただ資料的価値は非常に高いものだと私は思います。残念なのはギルガザムネをはじめとする作品最後半の資料が掲載されなかったこと。
アニメ専門書籍の古書店でもこの手の本なら1,000〜6,000円、希少本なら10,000が
相場だったと思います(但し15年ほど前の東京 神保町での話。今はどうだかちょっとわかりません。またブック○フなどの一般古書店ならもちろん定価割れで置かれているはずです)
以上の点を踏まえてご購入を判断されるとよいかと思います。