現在日本には優秀なクラシカル・サクソフォン奏者が多いが、その多くが
フランス留学経験者である。
ダニエル・デファイエ存命の頃は多くがこぞってデファイエ門下を目指したが、今はその高弟2人に集中している。その一人がこのフルモーだ。技術的な安定度は圧倒的なもう一方の高弟ドゥラングルに一歩及ばないという評価もあろうが、そんな差異は私のような一般人からすれば雲の上の話。ともかくも古き良き
フランスの薫りを直接伝えるその音色と音楽に耳を傾けるべし。この人にかかれば、ガヴァンボディ2もセクエンツァIXも聞きにくい音楽ではなくプロヴァンスの風景の延長にあることが感じられる。それでも最後のヴァカンス(1990年にフルモーに捧げられた曲)でホッとするのが本音かな(前奏を聞くと松田聖子のスィート・メモリーズを思い出すのは私だけか?)。管楽器伴奏に慣れた人らしい長尾洋史のピアノ伴奏も特筆もの。