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黒の追憶
正直このアルバムの曲を聴く前は、凌辱ゲームの主題歌は凌辱って言うだけに禍々しい曲ではと思い、半ば好奇心で買いました。
いざ聞いてみると、禍々しい曲っていうイメージはほとんどありませんでした。アップテンポで少し怖いイメージの曲もありましたが、むしろ明るい感じの曲であったり、しっとりとして悲しいメロディーラインの曲、妖艶なイメージの曲が占めているといった感じです。しかもその曲はどれもイイ曲ぞろい。

なお歌詞カードには主題歌となったゲーム(性的描写あり)の一場面とパッケージが印刷されており、
曲を聴きながらゲームの世界を想像することができておトクでした。

私個人のお勧めの曲は
1Dum Spiro, Spero.(序盤の曲の入り方がいい。イントロから3拍子に入る瞬間曲の幻想的な世界に引き込まれる。NoIdの歌声もきれい)
2花葬(クライミライというゲームの主題歌だが、アップテンポな曲調の中に歌詞も交えてその「クラさ」が滲み出ている)
7蒼き罪の唄(ピアノの旋律とともに愛する想いがしみじみと感じられる。非常にきれいな曲)

なお10曲目の「孤独なレイニーデイ」は、曲のアウトロに喘ぎ声が30秒くらい続きますのでご注意を。

ゲームの流儀
本書は太田出版『コンティニュー(現在休刊)』誌に過去掲載されたゲーム制作者インタビューを一冊にまとめたものです(ただし、田尻智氏など何名かは掲載されておりませんのでご注意ください)。

『コンティニュー』は、過去のゲームに焦点をしぼった特集を組んだ雑誌として2001年よりスタートした季刊誌(創刊当時)でした。同出版社より以前刊行された『超クソゲー』のライターによる、面白おかしい語り口の過去ゲームレビューが特徴であったと記憶しています。

特に『コンティニューVol 1』の小見出しとなった『メタルブラックを創った男』は非常に強いインパクトがありました。雑誌としてのスタート特集がそれで大丈夫なのかという意味で、です(笑)。メジャータイトル『ストリートファイターII』を取り上げるにしても『春麗を描いた男 あきまん(安田朗)』といった風に、当時誰の目にも印象が残った人物ではないものの「後の人生に影響が出るほど強烈な衝撃を受けた者もいた」そんな仕事をした人、という選抜の仕方が絶妙でした。

現在であればネットで検索可能な情報も、当時は知る機会が少なかった為、こうした特集は非常に有り難かったです。おそらく、現在のウィキペディア記事も情報源が「このインタビュー」であった可能性もあるでしょう。

ご購入時の注意点としましては、元になった記事自体が数年以上前の古いものである為「情報源」として本書を購入しようと思った場合は、購入者のご期待に添えない可能性があるところでしょうか。しかし本書の見どころは、やはり「当時のインタビュー記事であること」なのです。この10年、かつてのゲーム産業は勢いを失い、据え置き機から携帯機、更にソーシャルゲームへとユーザーの嗜好も変化しました。このインタビューはその渦中における作り手たちの心境がよく表れているのです。

本書の「読みどころ」は、かつての少年達が憧れるほどの「モノを創ってきた人達」が時代の変化に苦悩している姿や、新たな時代(インタビューの時系列でいえば現在)に向けて奮闘する姿勢の部分にこそあると私は思うのです。

浮雲
無料で名作を読むことができるのは、大変うれしいです。
いろいろ読みたいです。ありがとう。

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