あるジャンルで名作・傑作が同時多発的に生産されることがあります。
ネオレ
アリズモ、ヌーベルヴァーグ、アメリカン・ニューシネマ。
おそらく、「映画」というメディアがそのような時期を持つことはもうないのではないか?
そのような閉塞感を、2000年代を超え2010年代を生きる私たちは感じています。
もちろん単発的に傑作・名作・良作は制作されるであろうし、それでいいのですが、
時代のうねりのようなものが作品群として現れてくる場に、もう立ち会えないとすれば、
いささかの寂しさを感じずにはいられません。
さて、
ハリウッドの閉塞感を打ち破ったアメリカン・ニューシネマも過去のもの。
だんだんと限られたシネフィルしか観ないようになるのでしょう。いや、もうそうなっているのかも。
下手に過去の名作を薦めたりすれば、
「批評家ぶっちゃって」とか「面白ければいいから。何芸術ぶっちゃってんの?」
などとあしらわれてしまうことも容易に想像できます。
しかし!違うのです!と声を大にして言いたい。私たちも、ただただ物凄く面白いから観ているのです。
そのエネルギーの源泉が若さか馬鹿さかわかりませんが、新しい表現を切り開こうとした作品の面白さは別格です。
例えば、この「明日に向かって撃て!」のように。
「何か最近映画つまんないな」と思いつつも、だらだらと新作を追いかけている方に是非とも観て頂きたい。
今でも、この映画の持つ「ユーモア」は新しい経験をもたらしてくれるはずです。
この本を購入し、その晩に一気読みしてしまいました。
確かに、映画ファンにとっては読み応えのある本で、574ページのボリュームで全く飽きません。
しかし問題なのは、この表題とは裏腹にほとんどのページが紹介する映画の製作についてであって、
著者ご本人の体験談ではない事。書かれてある事のほとんどがDVDや特集本で既に書かれている事が多く、
新鮮味が無い。例えば、“タイタニック”についてはポーラ・
パリーシ氏が書いた
タイタニック―ジェームズ・キャメロンの世界とほとんどの部分が
内容が同じですし、"エイリアン”もDVD特別版とBD BOXを持っている人であれば
“それってメイキング映像で既に語られている事じゃん!”とツッコミを入れたくなります。
書かれてある記事の出典ソースが書かれていないのはどうかと思います。
“明日に向かって撃て!”も然りです。
映画館へは、麻布十番から都電に乗って。とは違い、
興行側の裏話等はほとんど書かれておりません。
が、それでも、章ごとに僅かに触れる著者本人の思い出話、経験談を読み出すと、
思わす次からまた次ぎへと読みたくなってしまうのも事実。
'70年代生まれの私としては、幼い頃なぜ“スターウォーズ”が延々とテレビで紹介され続け、
チョコキャンディなども発売されたのか未だに謎で、その辺のご本人の仕事について
スター・ウォーズ・レジェンド以上に語ってほしかったです。