エマ (エメラルドコミックス ロマンスコミックス)
エマという、性格にかなりの欠点を持った女性を主人公に据えるオースティンの見識にまず驚く。このおせっかいでプライドの高い世間知らずの小娘は、しばしば読者をいらだたせる。ハリエットの件でエマはもうすこし罰せられてもよいと感じたが、それ以外の事件では、それぞれエマにその無分別の報いが返ってくるように描かれており、単純に胸がすく。しかし、そう一筋縄ではいかないのは、高慢で愚かなエルトン夫人は、高慢で愚かであるがゆえに、特に報いを受けていない、あるいは報いを受けていてもそれを感じていないことだ。良心を持つ人間こそ、自分の愚かさを知る。いや、深い。