記憶の中の幸田一族 青木玉対談集 (講談社文庫)
青木玉の九つの対談集になっています。
内容は、幸田一族の話、幸田家の生活、躾の話等で、すべて幸田露伴、幸田文、青木玉の三代に渡る著作の背景にかかわる話です。
この本を読んでいると、幸田一族の凄さが解りますし、そこにおける露伴の位置づけなどが解り、興味深いものがあります。
それと同時に、そうした家族環境の中での娘文、孫娘玉と露伴の関係も、かなり見えてきます。
それにつけても、幸田文と言う人の「強さ」を感じずにはいられません。
厳しい露伴の教え、弱い夫との離別、病弱の玉。
押し並べて、すべての面倒みが文のところにあったようです。
病気を押して、露伴のわがままを聞いて、伊豆まで伊勢海老を求めに行くところなど、「強さ」以上のものを感じます。
それがあるからこそ、44歳になって著述を始め、しかもあれだけの作品を残すことが出来たのでしょう。
この本を読んで、改めて幸田文の著作をすべて読みなおしたくなりました。
きっと、最初読んだ時とは違って、深いところまで読み込めるような気がします。
本物シルクの5本指靴下!-婦人用2足組 ドクターシルク「くつしたの下」/冷えとり決定版!
今まで色んなタイプの5本指靴下を試してきましたが、素材によって耐久性に
違いが出ますね。ざっとこんな感じ。
化繊>>綿>>ウール>このシルクの靴下>>>>>>他のシルクの靴下
5本指の靴下、特にシルク製のやつは穴が開きやすいのが宿命です。
耐久性を優先させるなら、ナイロンとかの化繊でできた物を選ぶべき。
但し、シルクならではの肌への優しさや履き心地、冷えとりや毒出しの
性能は、他の素材ではあきらめるということになります。シルク素材に
こだわるのであれば、この商品は価格も良心的で文句無くお薦めです。
シルク製の中ではとびきり丈夫で、他とは比べ物にならない履き心地の良さ。
土踏まずまでのハーフサイズという点も、ごわごわせずリーズナブル。
毎日欠かさず履き続けるようになってから、体調もすこぶる良好です。
小石川の家 (講談社文庫)
巻頭から祖父・露伴の小言がくどい。
ついやってしまった失敗や悪事に対して「何故こうしたんだ」と言われる程うっとうしいことはない。
それが一挙手一投足に渡り、毎日続く。
祖父も母も口を開けばよくない処を指摘し、そうでないときはほったらかし。
怒られるよりは、ほったらかしの方がまし。
辛い。
著者にとって「自分を好きになること」は努力だったのではないか、と思う。
著者が祖父や母のことを書くとき、凄かった、こんなこともあんなこともできた、気力があった、人にも尊敬された、尊敬している、という。
好きだ、楽しかった、嬉しかった、という言葉はあっただろうか。
と同時に著者の諦めの早さ、やってみる前にできない理由を探す癖のようなものもしばしば見て取れる。
なるほど露伴ような論理と行動が一致した人、文のような実地の人にとっては歯がゆかったろうとも思う。
時間をかけてじっくり取り組んだだろう文章だ。
湧き出る事柄を、時間をかけて書いた文章は、読者にも時間をかけて読むことを要求する。
しかしネガティブな心情で、不愉快な事柄ばかり書き連ねているので、読む楽しみが浅い。
幸田文の本から著者の本に分け入った者には、共通の登場人物も興味深い。
ネタが重複する部分も多く、母娘の視点の違いが際立つ。
東京から長野へ一時疎開したときの、母方の親戚の冷遇は幸田文の文中では見なかった。
幸田文は病院で一人で息をひきとったそうだ。
娘は「また明日来るね」と言って、母の死後病院に行き「約束を果たした」という。
この熱の無さはなんだろう。
幸田文の箪笥の引き出し (新潮文庫)
著者のお母様である幸田文さんの講演を一度だけ伺ったことがある。
階段教室で「おとうと」の映画を見た後に、ただ一学年だけ、400名弱の贅沢な空間での講演だった。闊達な江戸言葉に圧倒されたものの、その時のお着物は地味な縞模様で、着物も何も知らない私には、「地味~なおばさん」にしか見えなかった。
自分がいま、あの頃の幸田文さんと同じような年になり、着物にも興味を持ち始めもして、もしあの時の戻れたら、おそらくあれは大島で、あんなに粋に、肩肘張らずに着物を着こなす素晴らしさに、まず感嘆したものを…と思う。
凛としたあの空気は彼女の生き方そのものだったのだと、娘、玉さんの筆によって改めて思い知ることのできる、この本は私にとって貴重な一冊となった。