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つらいから青春だ  韓国で最速ミリオンセラーを達成し、170万部を超えて、今も売れ続けているというソウル大学の教授のエッセイです。
BIGBANGや2NE1といった人気の韓流アーティストたちに支持され、今では次期大統領候補までが推薦している、
と韓流ファンの友人から、勧められて読んでみました。

 口当たりのよい「癒し系自己啓発」想像していましたが、そうではありません。
著者は現代の若者の「つらさ」に共感しつつも、現実的な努力を続けることに大切さを説いています。
それは、自分の教え子に送った手紙だという「スランプ」という章の以下のアドバイスに端的に表れていると思います。

 1、怠惰を楽しむな。もしほんとは楽しんでいるなら、つらいなどというな。
 2、体を動かせ。運動して、人にあってやることをやれ。酒を飲まずに早く寝ろ。
 3、それがなんであろうと今日やれ。いまやらないのなら、それはきみがまだ怠惰を楽しんでいるという証拠。
 4、どんなにひどい悲しみやスランプにあっても、きみはあいかわらずきみだ。
   自分をいじめるな。どんなときでも、ぜっ・た・い・に。
          (この本のフェイスブックにも全文が掲載されていました)

 高3の息子さんに向けて、そして20代の自分に向けて書いた、というようなことを著者は書かれていますが、
本書は若者とは言えない年齢のわたし自身にとっても励ましをくれるものでした。

 「人生時計」という章では、人生を一日に例えるなら40を過ぎた私は、
まだランチタイムが終わったくらいで、むしろこれからが本気の仕事の時間であることを、
 「人生のピークを考える」という章では、20代はもちろん、30代も40代も、まだまだ成長の時期であり、
これから先に「全盛期」を迎えることは充分可能なのだという著者の主張に、甘酸っぱい思いで共感してしまいました。

 大学生や20代の「青春たち」だけに読ませておくのはもったいない。
 むしろ40代後半の著者に近い年齢の方におすすめしたい。
 著者も引用しているとおり「人生に遅すぎることはなにもない」(映画「ベンジャミン・バトンの数奇な人生」より)
という気持ちになれる1冊です。

どこでも行くぞ、車イス!―寝袋ひとつでヨーロッパの旅 (ポプラ・ノンフィクションBOOKS (2-18)) 廉田俊二さんの、ふところの深さがある
愛と勇気の物語だと思います。
落ち込んでいる人も、行動することです。

津軽 (新潮文庫) 生誕100周年ということで、ワイドショーなどで最近多く取り上げられていました。
そこで驚いたのは、太宰ファンの人がマイ文章を持っているということ。
つまり、気に入っている一文をすらすらと暗唱していたのです。
その驚きが太宰作品を読むきっかけとなりました。

人間失格、走れメロスといった作品のイメージ(小学校の頃に教科書に出ていたぐらいできちんと読んだことはないのに)から太宰治という人に暗いという印象を持っていました。

それが読んでいるうちにすぐ払拭され、繊細で、人に気配りをしすぎるほどにしてしまう、ユーモアがあるお茶目な人だと思いました。
蟹や蝦蛄をばりばりと嬉しそうに食べているのが目に浮ぶほどです。
ビールも太宰治にかかると美味しそうすぎて呑みたくなる!(笑)

彼は津軽という自分のふるさとについて旅行記を書く企画を受けます。それについて序編では専門的な知ったかぶりの意見は避け、愛という自分の専門科目を追及したいと書いています。
そこに相対したラストがとても格好良かったです。

私は虚飾を行わなかった。読者をだましはしなかった。さらば読者よ、命あらばまた他日。元気で行こう。絶望するな。では、失敬。

これをマイ文章にしている人が多かったのに納得しました。
なんて格好良い!

紀行や歴史などの説明では読み辛く進めるのが難しい部分もありましたが、旅行記だけではないストーリーがある素晴らしい作品です。

この作品を最初に読んで正解でした。

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