ミレーヌ・ファルメール
ウィスパーボイスが、シンセ・シンフォニックの上で漂います。耽美な味わいは、まさにヨーロピアンテイスト。
シアトリカルな作風で私達を幻惑する彼女ですが、しなやかさと忍び寄るような歌声では、この作品がベストでしょう。ゾクゾクする、不思議な魅力に満ち溢れた作品です。
初期のヴィデオ・クリップ集。私も以前ヴィデオ版を買ったことがある。当時この作品を観て、彼女のとてつもなさに惹き込まれて行った人も、かなりいることだろう。これはヴィデオ・クリップの枠をはるかに超えてしまった作品で、彼女主演のフィルムの編集版と考えた方が良いだろう。彼女の作品モチーフに共通する、ある種の暗いイメージ(E・A・ポー的文学性、裏切り、侮蔑、失望、戦争、混乱、儚さ)のオンパレードのような作品集である。私はこのころの彼女の、清楚な無垢なフランス人形のようなたたずまいが好きだ。
Les Mots: Best of
シールさんとのデュエット・シングル「Les Mots(レ・モと読むそうな)」をタイトルにした二枚組みベスト盤で、いわゆるシングル・コレクションです。 デビュー曲からほぼ発売順に並べられているので、ディスコグラフィーとしても機能しますね。 幻のセカンド・シングルのA・B両面も入れて欲しかったけど、発売元が違うからしょうがないんでしょうね。 でもシングルを全部持ってない限り、これでしか聞くことが出来ない曲やバージョンも多数入ってるし、何よりも「いいとこ取り」な訳ですから聴く価値ありますよ。 残念ながら邦盤化されておりません。
Music Videos 1 [DVD] [Import]
フランスの歌姫、ミレーヌ・ファルメールのビデオクリップ集DVD。
曲自体は憂いを秘めた美声によるフランス語のユーロビート、と言っていい物なのだが、
彼女の世界を真に知るためにはこのビデオクリップを見ることが不可欠だと思う。
この映像を見ながら、私は何度驚嘆と戦慄に身を震わせたことだろう。
一体何が彼女をこまでさせるのか、という。畏怖とも感動ともつかぬ震え。
まず凄いのは、ビデオクリップの金のかけ方で、たった5分か10分の曲のプロモ映像に
まるで映画一本分の壮大さとドラマ性を持ち込んでいる点。
そしてそれらの全てに出演しているのがミレーヌ本人であるという点だ。
映像の中で彼女は、時に全裸の肢体をさらして愛する男と激しく絡まり合い、
ときに清楚な貴婦人になり、ときに勇敢に馬に乗って戦場を駆け抜ける、
そして、ときに角を生やした異形の美女となって雨に打たれ血の涙を流すのだ。
その起伏にとんだ演技力と感情表現は、到底一介の歌手などではない。本物の女優のそれだ。
映像にはヨーロッパの深遠を覗かせる静謐と叙情、そして暗黒と狂気と美があり、
その耽美性が色濃く表れている。これを見ずしてミレーヌの本当の世界観は分からないだろう。
Music Videos 2 & 3 [DVD] [Import]
ミレーヌ・ファルメールのビデオクリップ集DVD
彼女が拠活動の点をアメリカに移してからPVを集めたもので映像的にも、
アメリカ映画を思わせるカット割りの多いものとなっていて、
一見ヨーロッパ的静寂と暗黒度は薄れたように思えるものの、
センスの良いメジャーな作りの中にも、彼女の持つアートな感性は所々に垣間見えて、
やはり素晴らしいといわざるを得ない。
フランス語による情感たっぷりの歌唱は映像と結びつき、見るものを釘付けにせずにはおかない。
まるで香港ファンタジー映画のような中国美女に扮したミレーヌ、
絶望にのたうち血の海に浸るミレーヌ
娼婦とファーストレディの二役を同時に演じるミレーヌ、
サーカスで玉乗りをするミレーヌ、
こと映像という視点からすると、ここまでの場所に到達している歌手が
この世界にどれほどいるだろうか。
彼女の表現するものは、愛と憎しみと悲しみ、光と闇、時の流れ、血と涙、
美と醜、生と死、でありそれはつまりはこの世界のすべてである。
ボーナス映像での、
何十万人だか見等もつかない大観衆の前で歌う彼女の姿は、
まるで女神のように輝いて見える。
陶酔に満ちた人々の顔を見れば明らかだ。
この一人の歌手のために命をかける人間が、たとえ何百万人いても、
私は驚かない。これも必見のDVD。