嫌われ松子の一生 愛蔵版 [DVD]
松子にとっては「父は妹を可愛がり、私を愛してはくれていない」というストーリー
があったのだと思います。そして、父の関心や愛情を得るために行動します。それが
束の間の満足を得ることには成功しますが、本当のところでは満足は得られなかった
のでしょう。
松子にとっての関心事は父からどれだけ愛されているのか?の一言に尽きます。そし
て、それが後々の男性関係の元型となっていきます。松子にとって世の中の男性は父
の置き換えにすぎないのです。そこには父から愛されたいけど、愛されていない、と
いう深く傷付いた決して癒されることのない気持ちと悲しみが根付いています。また
、松子は主体としての自分を力強く生きることができず、いつも常に誰かの愛情で自
分を満たそうとします。しかし、満たそうとしても満たそうとしても、そこには決し
て満たされることのない松子のポッカリとあいた空虚感があるのでしょう。そういう
松子の前エディプス期に固着した発達水準の中で、生活年齢だけは重ねていきます。
松子はただただ父からの愛情が欲しかっただけであり、そのもらえなかった愛情を他
の誰かから死に物狂いの努力で変わりに満たそうとしていただけなのです。松子は愛
情がもらえなかったという深い悲しみを悲しみとして受け取れなかったというところ
が辛いところです。その悲しみを少しでも意識化し、言語化し、誰かに共有してもら
えていたら、何かが変わっていたのではないかと思ってしまいます。
butterfish [DVD]
純粋に、中谷美紀のファンで中谷美紀の画像を狂おしいほど好きな人にはまあお薦め出来ます。これ自体が少し前のコンサートなので、青い頃の(妖しいなあ、その表現は)美しい中谷美紀が見られます。今の中谷美紀とは少し違います。
当然コンサートなので歌を歌っていますが、決して上手だとか、音楽的に優れていることはありません。下手ではありませんが、ちょっと違う感じです。
それでも、これを映像を含めた作品である、と見るならば、かつ中谷美紀の女優として以外の面を知りたいのならば、一見の価値はあります。
中谷美紀 「裸婦」
当初、この商品が届いた時、そのサイズに戸惑いました。
独特の長方形で本棚に入らず(恐らく普通の本棚には縦では入らない)。
伝聞ですが、この商品の製作に関し彼女自らがプロディースしたとの事。現在の日本の女優でこれ程、ユニークでエキセントリックな知性の持ち主は他に類はないものと思います。
この商品を手にした瞬間、彼女のその感性は伝わると思います。
内容も価格に対して十分に満足出来るものです。
満足です。映画やドラマでは、一味違う角度の彼女の魅力と人柄に
触れる事の出来ます。この商品をお勧めします。
cure
学生の頃、中谷美紀さんの「食物連鎖」を購入し何度も聴いていた。
友人たちは「食物連鎖は2曲しか聴く曲がない」と一蹴していたが、自分は決してそう思わなかった。
坂本龍一氏の音楽に陶酔し、長年に渡って聴いていたことや当時小西康陽氏率いるピチカートファイヴの
大ファンだったということも大きく関係しているとは思う。
その後もちろん中谷さんがCDを出しているのは知っていたが、まだネットもそれほど発達しておらず、
なかなか入手する機会がなく月日が流れ、やっと最近こちらのCDを入手した。
あまりにも完成度が高く、度胆を抜かれた。
坂本龍一氏の個人アルバムは様々なヴァリエーションがあり、能力をいかんなく発揮されていることは
すぐにわかることであるが、中谷さんのキャラクターに見合った素晴らしい曲を提供し、一般的に言われる
癒しとは違った癒しを感じ取ることが出来た。物憂げだけどほっとして楽曲のレベルは高度。こんなアルバムを
当時購入しなかったのは、悲しいとしか言いようがない。
他のアルバムも現在入手検討中です。もちろん☆5つ。
P.S 中谷さんと自分は同い年だったみたいです。これからのさらなる活躍を期待します。
私生活
坂本龍一とのコンビの3作目(1999年作)。
本作には、半野喜弘と竹村延和も作曲陣として参加し、より通好みのエレクトロニカ仕立てのサウンドになっている。逆に言えば、前作にまであったクールなテクノポップ風な分かりやすさは減退したということであり、これまでの彼女のアルバムの中で、最も取っ付きにくいアルバムにはなっている。またどこか架空のサウンドトラックのような趣を持った作品であり、流れる日常の儚さを描いた映画、まさにタイトルの「私生活」というのがぴったりといった感じだ。アルバム中、中谷美紀の会話も効果的に使用され、女優としての能力をうまく作品に取り入れられていると思う。女優として確固とした立ち位置を持ちながら、ここまで実験的なアルバムを作りあげたことは、なかなかセンセーショナルなことだと思う。その反面、前作にまであったフックの良さとメロディ志向が薄れてしまったのは、仕方ないことではあるが、少し残念。アルバム中、ハイライトといえるのが「クロニックラヴ」しかないのは、やはり淋しさを感じる。