蔦葛木曽桟〈上〉 (文庫コレクション―大衆文学館)
※まぼろしの文庫本
国枝史郎ファンにとって人気のある文庫本で、このアマゾンさんには何故か登録がない本を紹介しておきます。
「国枝史郎伝奇文庫」全28巻
昭和50年頃より講談社より刊行開始。
編集委員=横溝正史/半村良/尾崎秀樹
装幀横尾忠則、装画山口将吉郎。
全巻の収録作品です。
1〜3 「蔦葛木曽桟〈つたかずらきそのかけはし〉」上中下
4 「八ケ嶽の魔神」
5〜6 「神州纐纈城〈しんしゅうこうけつじょう〉」上下
7 「名人地獄」
8〜9 「任侠ニ刀流」上下
10 「神秘昆虫館」
11〜12 「剣侠受難」上下
13 「暁の鐘は西北より」
14〜15 「娘煙術師」上下
16 「生死卍巴」
17 「十二神〈オチフルイ〉貝十郎手柄話」
18〜19 「血煙天明陣」上下
20〜21 「猫と蚤とり武士」上下
22 「血曼陀羅紙帳武士」
23 「明暗ニ道」
24〜25 「あさひの鎧」上下
26 「沙漠の古都」
27 「銅銭会事変 短編」
28 「妖しの館 短編」
国枝史郎の本のページの「コレクター商品」にちらほらと出品されていることがありますので、根気強く探してみて下さい。
神州纐纈城 (河出文庫)
こんなに読者をひきつける作品が
未完で終わっているとは本当に
不運そのものであります。
なのでその先の展開の想像は
私たちがするしかない模様です…
ある血塗られた布から
端を発した事柄…
やがてその情趣は恐ろしい体をなし
疫病を撒き散らしにかかります。
その光景はまさにグロテスクそのもの。
結構その描写は延々と続きますので
苦手な人はこの作品は避けた方がよいかもしれません。
だけれども、面白い、と言うことは
言っておきたいと思います。
人としては歪んだものを持っている
一人の青年に注目すると
面白いことでしょう。
ひときわ異常に映るでしょうから…
グロテスクですが、あっという間に
読むことができた作品です。
伝奇ノ匣〈1〉―国枝史郎ベスト・セレクション (学研M文庫)
昭和初期に活躍した国枝史郎の魅力といえば、ほとばしるイマジネーションを基にした雄大なストーリーとケレン味溢れる設定ですが、その一方で、かっちりと纏め上げた短編の書き手でもあります。この傑作選は代表長編と佳作とされる短編数編を収録し、国枝史郎の入門篇としては、なかなか良い仕上がりになっています。国枝を読み込んだ人には多少の中途半端さを感じさせますが、ロマンの香り濃厚な幻の処女戯曲集の復刻を見逃す手はありません。文庫としてはやや高めの価格も、本のボリュームを見れば納得でしょう。すべての伝奇(時代)小説ファンに勧めたい一冊といえます。